haiirosan's diary

散文とか

着色料滲む終幕

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彼方、幽かな杏子飴漂って、
全ての砂糖は終着点を見失ってしまう。
(三面鏡の裁判)
それすら、動かぬはずの彼女はその首を揺らしてしまうから、私の指先から果糖と着色料滲む。
踏み散らした「藍」
白骨のエンドロールは緩やかに吸い込まれて
__暗幕__
秋雨に踊るるライト煌めいて
凍てつくブーツ浮かんだまま
暗闇に投影された躑躅揺らいで
夢の深層は蜜色の水に浸される
黄昏のヴァイオリン、
救済の四弦が調律を乱した刹那、
不協和音に溺れた世界は為す術もなく
崩れ去ってゆく。
色彩狂って
――最期の譜面が炭化した時、
聴衆が自らの敗血で左手を洗うラストシーンすら――
秋の残像は夜と死体を引き摺り、境界の深層へと運び込む。永遠の白線から逃れることのできない少女。彼女は、いつか現れる深い深い闇を求めて、朱に染まった死の足跡を蹂躙するように歩き続けるが、どこまでも明度に充たされた光だけが、暗い暗い影を照らしていた。