haiirosan's diary

散文とか

密やかな「否」を

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密やかな「否」が放たれた時、あの空は幽かな熱を帯びて、全てを焼き尽くした。
あまりにも優しき狼炎が、終わりなき夕刻を刻み

世界は(永遠)を手に入れてしまう――

罪深き処刑台の神、硝子の掌に突き刺さる錆びた釘

震える手足、注射器から注がれる無罪の死罪に、デスマスクの頬だけが赤く染めて。

琥珀色に草臥れた地図に滲む「終わりの国」

言葉も無く、国籍も無い国を矛盾だと糾弾する議会には、哀しみの血だけが遺されて

4の憎しみは取り去ることのできない足跡と薬莢の紫煙を、ずっと――

秋の始点を僕らはいつも忘れてゆく

いつか、秋の終着点を見失ってしまった

紅葉が炭化して、穴の空いた手袋が街を闊歩する

12月の赫が融和してゆく

12月の蒼が飽和してゆく

テキーラに抱き寄せられた血塗れの指先は、

罪と罠に浸されたいつかの砂漠を想起させて、

渇ききった喉に再び彷徨う(為の)業夏をもたらした。

柔らかな剃刀漂う蒼、鳥たちは傍観に溺れ

海のような水曜日は瞬く間に揮発してしまう。
誰の感情もいない幽霊船に遺されたブランデー・ボトルに少女たちは閉ざされて白磁の指先だけが滑らかに這い回っていた。

油絵の世界は誰かのダガーナイフで引き裂かれ

沈黙に遊泳する冬がそっと忍び寄る

紅葉は血を喪い

黄疸に酔い痴れた花びらを散らせば

此処は光が射すことのない戦場のようだと嘯くのはきっと……

空のカーペットを奔る逢魔を、いつかの僕らは裸足のままで追いかけていた。
呼吸停止の街も人も、名も無き影絵へと変容してゆく刹那

彼方の茜色だけが淫らに輝きを増して――