カササギ掻き毟る夕刻
蜜柑曳き殺した夕景
ページをめくる指は一つ、また一つと失い……
『死に至る病』の最終頁に、私は氷結した希望を溶かしてしまった。
6月、渇ききった唇、口紅の水死体(は)美しき季節
沈まぬ太陽に左手を振れば、
此処には憎悪と無感情が血に染まり__
秋雨の跡、死者への花束散りゆく午後__
遺失物の絨毯を蹂躙する葬列は
朱に括られた自らの首を傍観し、何処へ向かうのか?
裸足から染みる敗血
ヒールから崩れた足音
血染めの教会に零れゆく旋律
イロが融解していく時
目隠しのビルは奇数を忘れて__
半開きの口 悲鳴すら不協和音と正体のない笑み
新宿の境界線 暗闇渇ききった暁
――私は此処に忘れた何かを、光のないアルコールと共に思い浮かべていた。
リキュールの水平線が黄昏に揺らぎ
睡魔と死亡記事遺されて
酩酊の幸福論
意識外の絶望
翼を切り裂くカッターナイフは水色を帯びて……。
暗翳から見上げた夕光は、唯、焼けつくような眩さを湛えて――