刹那の紫鏡ひび割れて、あの日の少女は「死の部屋」を描くことを選び取ってしまう。
鮮やかに痛く、-を刻む筆先、
不鮮明な色彩に誰も拍手を送ることなく、
栄光と光に充ちた記憶すら、
やがて翳んでゆく――
暗い太陽
暗い笑み
彼岸の白昼夢は止まぬ秋雨と
死にぞこないの揚羽色が網膜に揺らいで
__墜ちて
泣き濡れたワルツを踊る紫式部と花花は、私の渇ききった心と血管を
終わらぬ「痛み」を伴って締めつける。
そう、夕暮の出血は冷たく
あなたの視線も、みんなのしせんも冷たく
夏の墜落花火、六月はあまりにも刹那的で終末的だ。
終幕の業火に抱かれた60階は、其処から身を投げた後悔に、一匙の熱病をもたらした。
暗い影と化してゆく人の群れ
傍観するブルーバード飛び去って
彼方のサイレンが「なまえのないエンドロール」を手繰り寄せる。
逢魔の坂は誰もが正体を喪い、その心は轢死体へと変換されて。
「むらさきのそら」隠蔽される真相に
嘆きの悲鳴すら渇ききって――
私は唯、路上の埋葬に夕暮れの火をくべつづけていた。