haiirosan's diary

散文とか

薄羽蜉蝣の記憶

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血小板の夕暮、君の血は致死量を超えてまで夜を忌避する。
心のシャッターに幽かに刻まれる爪痕
死への欲動は、浴槽に投げ込まれた造花が魅せる快楽と夢。
呼吸を審判する水の中には
錆びることないナイフが揺らいでいるから
__
彼方の警告音
泡沫に眠る雲に簪させば
不穏なる空はそっと匕首を奔らせる
不協和音の交響曲と鴉の断末魔……
悲劇は足音もなく
あまりにも澄んだ化学式を伴って此処に。
いつか、解放されてしまった外科室
切り裂かれた季節は血を抑えることなく――
暴かれた色彩とうな垂れた刹那
沈黙に浸されたメスが
柔らかな肌を選び取るから

白い肌と冷たい火焔 打擲されし暁の茜
奇数だけが鮮やかに炎上する数列に
静脈血に染まった刃先はいつかの空を彩る
――薄羽蜉蝣纏わりついて、
私は零れ落ちた血と紫の記憶を、
少しばかり思いだした。