haiirosan's diary

散文とか

紫鏡の水彩画新宿

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紫鏡溶かしこんだコンタクトレンズ、不規則に揺れる十三階段

夕刻の悲劇は紛うことなきクライマックス、見つからない靴下

着色料の色彩が紫陽花の悲劇すら台本から引き裂いて、私は舞台のシャンデリアの下敷きになった。そう、テーブルクロスに隠されし殺意と虚無を、どうしても抑えることができなかったから――

仄暗い羊だけが許されし円卓上

姿なきヴァレリーは盤上の猿の首に「魂を肉体から分離させるものは、生であって死ではない」と嘯く。

視界、世界、後悔、渇ききった瞳に映るのは――

夢うつつうらてんはんにてんはんに反転を輪廻して

歩むれば朧なりし夕暮れと
影消えゆけば私は誰なの?

血を伴って着地したラストシーンは、あまりにも喜劇的で

私の透明な死体は黄昏に溶け合って

冷たいアスファルトの水彩画になった。

血に染まる右手で描かれた水色

水芭蕉色、イロを為さずして堕落

熱病の揺り籠で色彩は正気を喪い

死刑台の上にて艶やかな教義を叫ぶ神らしき空虚

弁証法の断頭、意図的な枯葉を蹂躙するのは無垢?
そう、最期の蜜蜂が貴女の花片に触れた時、世界には誰もいなくなった――

むらさきいろのカーブミラーに映る私の死体は微細に解体されたまま微笑を浮かべて赤ではない血に染まる白いワンピースはきっと罪悪と再審に濡れたままだとこの雨は永延と沈鬱な旋律を刻むからもう此処にはいられないんだと鏡の匿名が縊死すれば幽かな罅が少しずつこの世界を歪ませてゆく。

新宿(であるはず)のエンドロールは、潔癖なまでに色を喪い

革靴の死者の行進は脆く崩れる
此処では鮮やかな魂ほど打擲されて

唯、傀儡の糸か蜘蛛の糸かの選択肢を、首のない冥王に迫られるだけだ。