haiirosan's diary

散文とか

夕暮のゼリービーンズ溶けて、

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刎ねる首鞠蹴れば白粉朱くなりにけり
転ぶる排骨唐傘ちぎれ雲淡く
花びら濡るる身毒丸
唇刺すは麻痺セリ長月
――映し鏡映さぬ虚ろな鋼鉄
陰鬱な因果律に鼓動を求めても
此処には何も無いことを知れば
ブラウン管はノスタルジアではなく
悲劇の象徴だと、
そう、モノクロの着色料が嘯く
白黒ゼリービーンズ溶けた葬夏
ざらめ糖散りゆく水面揺れて
彼方の灯火は私にとっての絶望なのか
――或いは希望であるのか
分からなくなってしまった
かつて、甘美であったはずの夢現すら
酔毒に浸されて
赤い手が一つ





硝子窓にへばりついてゆく
朱色のマッチ擦る12月に太陽はドレスを纏い
刹那の死を選び取った
彼方 儚く笑う月は
欠損と美を携えて
二度とは灯さぬ夕刻のラストシーンの記憶を
柔らかに噛みしめている