haiirosan's diary

散文とか

カルキ無き水槽

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睡蓮の葉に隠された遺体
その冷熱を夢みる魚は
いつの間にか虚ろな午後の陽射しに包まれて……
網膜から剝離するスクリーン
曖昧な祝祭のような、
綿飴のような火刑に
自らの体温すらも忘れてしまう
障子沈められた蒼白
カルキ無き水槽に笑うのは
シャッターレンズと化した群衆の目――
その目に映る金魚の眼は
漆黒に浸されていて
浮游するばかりの光は
やがて青の紋様に 更なる色を湛える
漂う青、オアシス・アイスが乳化して
棗椰子に仕組まれた榴弾が3を高らかに叫べば
砂漠都市は焦土と化して
砂塵の譜面のFin.が見つからない
即興な牛頭の赤子が即興の不協和音を歌う
微かな「水」を掲げていた王座も
その義眼を二十日鼠に掻き取られて__
彼らは刹那の吐血すら、
蒸留酒の痕跡すらも、
殺人未遂として審判へと差しだす
蜜柑色の少女が最期の炎をくべる時
此処にはもう何もない