haiirosan's diary

散文とか

石榴飴の着色料は死の色

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夜色のカマツカの甘美に揺すられて、通続的な水音は私に緩やかな酩酊と睡魔を催す。
……仄紅く冷熱を帯びた水底
そこでは秋の牢獄から脱獄した影が
ゆらゆらと彷徨っていて
季節は亡骸と化した
血塗れの刃先を寒風に晒したまま――
砂漠色、毛細血管、蠍、砂塵
砂の雨足に煽られ偶数の残影を引き摺るのは反転する車輪の下、四月の亡骸だった、
散り散るちりぬる花火、逆さまの視界
桜花夢魔病ム毒蠱毒狂るる遺体視る――春を誤りし鼓動なき温もりも無き身体埋まる花びらの下、酒宴の果てに遺るのは鬼色の君と、青いハンカチを選択してしまった私、
ことばなきわたし
あおざめたさいれん
ことのはかれてしたい
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感情の無い蒼白が世界を抱擁して、
彷徨う人形は欠損に欠損を繰り返す
死体の温もり 滲む茜色
呼吸停止の季節
動かぬ針時計
昨日公園に佇む鬼の形相をした少女は、未だに隠れんぼのお終いと、夕暮れ時間を待ち焦がれているから。