haiirosan's diary

散文とか

PHASE 1 CLINICAL TRIALS

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薙刀の如き光刺す秋の血小板
彼らは自ら傷つき 自ら血を流す
踊る影絵
欠損すら忘れ
血を纏う黒焦げのワルツ
幽かに遺る水緑の清廉も
やがて茜の牢獄に引きずり込まれて
葡萄棚垂れ落ちるシャーベットは
匿名の心肺を柴に染めて――
夏の終焉、麦わら帽子を喪った人々により
やがて放たれる獄炎にすら
柔らかで毒毒しきイロを懐かせるから――
照光曝す白日の流血
暗緑に隠れし殺人者と黒猫はいつも
花蜜滴る轢断死体を狙っている
8mmを携えた愚者
架空のロザリオ
  神を逆さの絞首に処した時
彼らは淫らな手指を露わにする
蝙蝠熔ける夕靄に紫深く揺らいで
――トレモロ――少女の赤い靴の紐(だけ)が
夕茜に染まる宙を舞い踊る
剥がれたマニキュアと黄昏
行方不明の隠れんぼの記憶
或いは今もずっと――