haiirosan's diary

散文とか

夏爆ぜて旋律鳴らす花喇叭

水熱が花花を彩ることすら忘れて、砂漠のような現世はより深い渇きに呑み込まれてゆく。
あの口紅色、揺れるクリーム色は為す術もなく崩れ去って。

夏爆ぜて旋律鳴らす花喇叭

熟れた躑躅燃ゆる辻風に、啄木鳥唸る暁の砂の音階と幽かに滴る蜜の手招き

――ほら、影のない鬼が忍び足でやってきた。

啄木鳥と狐憑の誤読、首をなくしても羽根が、

盲目に飛び交う姿は、暁の地下鉄に切り裂かれた頸動脈の数を記録する、可憐な花屋のようで……。

色素濡れた街の化学式、

かつて身を投げた青も振り翳された白銀も、その色を抹消した喧噪と狂騒。
此処では、アスファルト排気ガスが清廉さを彩っていることを、不意に君は忘れたように。

忘却と虚無を抱擁する、透過性の夜伽

浮游する星々は、青1号に染まった水ゼリーの底に沈む水死体を隠し、無数の秋色をどこまでも艶やかに輝かせていた。