haiirosan's diary

散文とか

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

SLOW SWALLOW 2

――自動設定の目覚まし時計が鳴り響く。カレンダーでは 2000年8月3日、私にとっては2016年1月1日の朝が始まった。埃っぽいカーテンを開き、閉め切った窓を開ける。アパートの前の歩道には年始早々にも関わらず、クールビズのサラリーマンの群れが…

SLOW SWALLOW 1

「私だけが2015年大晦日にいる」――燦々と輝く白い太陽、鋭いナイフのような冷たく乾いた風、気温は恐らく6℃くらいの真冬にいるという意識は最早、肉体が感じる温度すらも支配している。視界に映る、アスファルト上で踊る陽炎、今にも倒れそうな老婆によ…

温かいかき氷という矛盾

世界の終わりが千鳥足で空に倒れ込んだかのように、街は群青色に染め上がっていた。夢うつつの状態である私は幽かに期待した。眩い太陽は姿をくらまし、街灯も鴉も戯れることなく沈黙している。毎朝聞こえる金属質な子供の悲鳴や、不快感に満ちた老人の呻き…

Into The Blue

揺らめく青い炎と紫の煙、三日月は霞む視界の中で笑っている。 12月某日、私は砂漠の丑三つ時のような寒さの中で、ライターを着火しては消し、着火しては消しという動作を繰り返していた。小さな部屋、狂ったピアノとブラウン管。テーブル上の眼球のような…