haiirosan's diary

散文とか

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

線香花火の水死体

消えゆく硝煙反応にクリームソーダほくそ笑み、密やかな街頭スクリーンに踊るシルエットは、唯々消えゆく為の淑やかさだった。 遠い町、遠く、夢、幽かにカッターナイフ揺れて。 オレンジジュースの苦々しい笑みと、水鏡に揺れるゼリーに甘味料を混入し忘れ…

1989年、生まれ落ちて死にゆくのは、

手を伸ばせば、その先にあるのはいつも鉄条網だった。滲む血の行方すら渇ききって、いつか降る雨に救いを求めても、穏やかに浸食する砂塵の音色だけが永延と鳴り響いて。 錆びた剃刀空1989年、茹だるような快晴と青雲の或る日、一匙のバニラが世界に零され、…