haiirosan's diary

散文とか

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

陰翳を卑下した秋茜と止血剤

「世界の果ての果てまで硝子で出来ている」(彼)が嘯いた地平線の彼方には氷結した蜃気楼が拡がって、淫らな猟奇殺人の色彩すら、何処か柔らかな揺らめきを湛えていた。 ――終わらない夏の白昼夢を映しだすガラスは、次第に焦熱を帯びて、凡てを焼き尽くしてし…

黄昏、青一号の海原

カーブミラーに映された「逃れることのできない死」は、夕暮の終わりと共にリセットされるはずだった。道端に転がる凝固した血痕、 融解した肉塊、 塩の眼と海に傷口を、逆さまの祈りを、正体を喪っても尚ずっと__ 路地裏の暗緑・透明な水 オフィーリアの叫…

風鈴狂い咲く「夏」の呼吸に、

地獄のグラデーションと摂氏__に焼かれ、ペリエの翡翠は緩やかに変換されてしまった。 情熱という名の虚無に永遠と墜ちる夢、 徐々に錆びゆく階段の 13段目(だけ)が見つからずに這い回るのは―― ――奇数の蜜柑に封入された青酸カリが滲みだし、5月は穏やか…

揚羽蝶ノかごめかごめ

輪廻の夕刻は静かに反転し始め、少女の酸素不足は呪詛と共に火を放つ。 より深い赤に切り裂かれた睡りは、死者と化しても尚救いがたく浅く―― 橋の彼方、未だに終わることの無い夕景に、彼は永延の(叫び)を止めることはなかった。 明滅するサイレンの雨、光…