haiirosan's diary

散文とか

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

水色の夏色、鬼灯色と遺灰色

夏の造花が咲かない花火を想い、嗤う――鮮明に映された網膜のオアシス 不可視の砂塵に喉を引き裂かれ、 街はアルファベットの影に怯え。 跫音、跫音が足跡も無く忍び寄ル__ 心臓零れ落ちる旋律、 施錠の無い出血に、暗いドアが緩やかに開かれた。 転がる空…

青1号沈澱せり世界

ライムミント滲む夕刻 光の無い街灯は酩酊を惨殺し 暗澹たる点滅を繰り返す。 小豆色の被膜に甘味料を加えんとした、かつての「地図に無い王国」は、堕落のリキュールに溺れ、徐々に消えゆく薄荷色を傍観しているだけだった。 浴槽に沈む街頭スクリーン 透き通…

「四四番目の空白」と蒼穹の破傷風

暗濘の彼方、 流砂のような火炎が、全てを焼き尽くしていた。 傍観或いは感傷 (それら)に浸る誰もが 既に火葬場の暗闇深くに沈められ__ 刹那に映る炭化した彼らは 暗幕の小さな悲劇にすらなれなかった。 視えない鬼が手招きする黄泉比良坂。 言葉も無く …

黄昏のエンドロール、藍色の天鵞絨

消失と忘却を輪廻する暁。 街には境界線を永延と描く黄泉路が、渇きをなくした夏を嘲笑している。 点滅を放棄した色彩たちは熱病に犯され、自らの心臓を露呈したまま、茫漠とそこに立ち尽くしていた。 夕刻に陰翳と華やかに 剥離した白磁 清爽の舞台から飛び…

千草色の平行世界

琥珀の季節を描くのは、最期の空中戦を求めて彷徨う巡礼者だった。 あまりにも酸素に充ちた群青色の海 息を止めて ライムミント掠めて―― ――幽かな冷涼と共に 残酷な夏は記憶を喪ってしまう。 翠緑の平行世界に映る亡霊 跫音の無い少女は 自らが翳すダガーナ…