haiirosan's diary

散文とか

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

Lilac Wine

午前6時、時も空も間違いを犯した秋のある日、暮れなずむ甘い海に雁が飛び交う。 理想郷に向かっているのか 最南端 幻燈の先の葬列 彼らは滑空していたのか、それとも過ちに溺れていただけなのか、僕には分からなかった。紅茶に溶ける砂糖は夕雲 檸檬の輪切…

Shattered Dusk

瞼を閉じたさき 時計が刻む逆回転 4時の意味 4時は朱か朝明けか 理科室の人体模型は二重人格 開かずのトイレ 黄より赤を撰ぶ 気の触れた君 影が伸びる先 誰もいない駅 紙芝居の終り 仮面の下の能面のシタガキリトラレタ(33.411)鼈甲飴が溶ける十二月…

はるにちくるいみだれ

花見をする華族 身を投げる少女 隠されし狂乱 咲き乱れるとはまた蘭違い いつか枯れる 或はもう草臥れた空 殻の空豆 からの空缶 ドロップアウト 舐めたのではない 噛み砕いた 隠されし校舎 牢獄から聴こえるピアノのフーガ そして老爺が(私)に摩り寄る儚い季…

雨の桜、跫と傘の悲鳴

長靴が偽りヲ刻む ヲ履いた猫 ヲを抜けば 抜粋すらカフカも不可 意味に君を求めてなどいない 君は誰? アイデンティティの喪失と葬列 葬儀 春霞 空 酒に濡れた道 疲れた日々 退屈な彼らは傘をかざし 陰鬱な僕らは傘をさす 渇ききった水曜日 錯覚の木曜日 白…

Abstract Sea

半透明 不透明な海 暗室か霊安室か 此処は暗く 冷たい 浮遊する夢 幽霊のような子供たち 蒼く 淡い視覚はいつの間にか他人に満ちていたゼリー ダウニー ブラウニー ケーキの鬱 カルキの躁 鬱蒼とした夕景には赤しかいない 静かに沈む青年 しとやかに死にゆく…