――夢幻なるきょうと御堂筋にひた走る暴徒。
一陣、三陣、癈人の異人と砕けたフィルム。
遥か彼方、パナマ帽崩れな藍色の風が泣くとき、たしかに「あまりにも早すぎた夏」は見えない9人の三振によって、偶数番を亡き者へと変えた。
鴨川に流れる数多の水死体を風船売りが漁る。
救いようのない毬麩に、入れ墨を描く赤マント。彼が壇上で斬首しつつ解釈を繰り返したのは、ただの氷冷酒がもたらす世界の終わりだから__科学なき呪詛の証明――
某所赤い鳥居にて首を括ろうとへばりつく猿の手柄と、アイスキャンディ。坂がきついさががなにけんかけんはりけんのまんなんはんなりまんさつがさつなけいさつのこうさつに寄れば、かき氷のブルーハワイ・シロップを視ていると、私はなぜかヒ素を思い浮かべる。
そう、東京都京都丿境界線の如く、青と死の境界線は近からず遠からず。
青0号着色料有添加! 着色料要添加!未だ熱病と冷熱に冒された猛威を薙刀に載せて咽ぶは、9に偏愛を抱く、私とワタシと夜の子どもたちだ。
……然し、記憶のなかの京都は蜥蜴へと変えられてゆく。あの煌びやかな舞妓の振り撒く可憐な白粉すら、私の澱んだ網膜では金色の蝶々飛び去る刹那へと変換されてしまうのだから。