haiirosan's diary

散文とか

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

黄昏横丁にて水菜が裸に剥かれるような、

――厭にくぐもったエコーと劈くサイレンを纏う、どもりの市内放送。もう大人になってしまった私或いはあなたに捧ぐ鎮魂歌は、どうやら昨年の八月の水の中に溺れてしまった少女と老婆が未だに発見されず、傍らに落ちていた手編みの買い物袋ですら、彼女のたち…

Viper Room? ราชอาณาจักรไทย?  Carassius auratus auratus?

ヴァイパールームの朝、僕は縦列駐車した麻袋の肉塊を、スーパーカブ50で轢き潰し、出前のざるそば10人前を海月の死骸の如く撒き散らしていた。ギルビー・ウオッカの円卓に白銀の騎士はもういない。堕落した黒天使の虚ろな祈り、円形脱毛症の神の怒りすらF…

フライパンで悶えるボロニアとヴァイスブルストの悲劇

例えば大焦熱地獄と化したフライパンに、簡素な袋に閉じ込められた6本のヴァイスブルストを投入しようとする。ソーセージが真っ当な食料になる間に、あんたが鉛色に飛び込む姿が何度も拝める皐月なのに摂氏30℃、出先のゲーセンからよろめきながら帰還した…

日曜日、少女は海を凝視していた

――それは潮騒の残酷な記憶。無表情に繰り返す波の白と時折混じる赤、見上げた空は汚れのない青に満ちていて、その中を滑空していたカモメの群れが、海上のテトラポットや右眼を喪った釣り人に目がけて墜落していく―― 或る日曜日の昼下がり、そんな海の情景を…

指先でなぞる、初夏の凍傷

×××神が凍てついた蜜柑と虫食いの西瓜を分けて下さった、8月32日の夏休み。 渇ききったプールサイド、夢際の最期に、少年は群青色のビートバンと水底を何時までも凝視していた。 果たして終わりのないpermanent vacationには紅葉と老いた鴉が舞い散る季節…

浮遊する二月、ヘンゼルとグレーテルの幻

https://www.youtube.com/watch?v=B3MVQl9KdXI 凍てつく世界の果て、焚火も裸足で踊り狂うことをやめた二月。私は確かに14の紅白唐傘が建ち並ぶ銀座の歩行者天国で、「彼ら」の幻を視たのであった。 杖をつく老夫婦が運悪く、とてもとても不運にも暴漢の凶…