haiirosan's diary

散文とか

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

8mmフィルムから零れたアイスピック

有刺鉄線が藍色を纏う時、硝子の靴は粉々に砕け散った。 太陽の亡霊、 砂漠の亡骸、 薔薇の亡命 少女が時計の針を忘却していたのは「狂っていたから」だと綴られる 39面の死亡記事が切り裂かれた時、硝子の破片は行方不明を装い__ 8mmフィルムから零れたアイ…

無表情のクリームソーダ

終幕の風景はいつも穏やかだ。清廉な蒼を切り裂く朧な光明、眩し過ぎる収斂に、時計の針すら呼吸を止めて__ コンタクトレンズが剥がれるように、水中に溺れるように、悪い夢が醒めるように――ぼやけてゆく世界 街も人も冷凍されてしまうけれど、その開いた…

首の無い客引き、敗血に浸された2月

蠱惑の帳に火が放たれし時、影踏み遊びの無邪気は脆くも斬り捨てられる。錆びついた諸刃、有刺鉄線の夕暮れに貴女は切創無く、夜を迎えられるのか? 彼方の星が世界を傍観する。人々は今日も自ら心臓を吐きだし、灰色の刻を紅く染める―― 街は虚ろさを漂わせ…

誰もいないはずの後遺症の窓

――鳴り止まない蒼い警報、アスファルトを這い回る錠剤の粉塵、真紅のカーペットを染めるのは青ざめた焼夷弾だと、誰が認めるのか? 遠く、遠く、藍霧に潰されたHighway509,ひび割れたバックミラーに映るのは終末のスニーカーと、茜色に乱れた手形、赤い涙零…