haiirosan's diary

散文とか

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

薙刀を解体する少女の眼

仄紅い水底には、秋の牢獄から脱獄した影が彷徨っていて、季節は亡骸と化した。 血塗れの刃先を寒風に晒したまま―― みえない朱を嘲笑うことすら、誰にも止められなく 「咳ヲ縊スルルハトホキ春ノユメ」 白痴の花が咲き踊り 薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る…

ブルーキュラソーのグラデーション

紫陽花溶けた朝焼けに、少年の爪先は幽かな亡霊と怨嗟に剥がされてしまった。 だが、遠い警笛を糾弾する185694の使い魔の醜き悪意に、胃からの出血止まぬ少女が手に取ったレミントン・ショットガン。 3番目のトイレに投げ込まれたヒ素の色で観音開きの入口を…

C18Fe7N18±C16H10N2O2

私だけが取り残された砂漠の果て。 炭化した夕日のシャーベット渇いて、蛇が高速道路を這い回ることをオアシス・アイスの色素が描く。 意味を成さない言葉の配列に、地獄の化学式はそれでも毒を織るために、 ――鷺は風切り羽すら亡くしたまま 歩みをやめた葬…

丑三つ時に寄生する薔薇が色を喪う夢

チョークで象る死の証明。 彼方で轟く雷鳴を黙殺するかのように、 無言の炎が彼女のドレスのような懺悔を焼き尽くすかに見えた。 灰色の壁から一歩を踏みだした、 その笑顔は酷く歪んだままで 錆びついたナイフが浄化されてしまう音だけが 青い世界に鳴り響…