haiirosan's diary

散文とか

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

明晰夢と茜時の表象

崩れかけた境界線の障子の向こう 紫陽花の炎が、亡骸を抱擁し続ける畳を柔らかに葬る 幽かな雨音 通りすがる揚羽蝶に彩られて ――色褪せゆく刹那すら、清廉なる青の熱病を携えたままだった 造花の彼岸花香りたつ雨暁 薬指の標本に収斂されし紫の蠱毒は 匿名の…

「私」と黄昏と世界の終わりの音

https://youtu.be/y4ebJNj9JxI夕焼け刻むピアノ線 誰もいない教室の奇数 冷めゆく熱病 鴉散りゆく刹那 「旋律なきサイレン」 無表情な悲鳴を奏で 暗い影を世界にそっと導くイロ__色を喪いゆく葬列が 遺失物と死亡記事を探し回る ――溶けない茜色 焼け落ちた…

夕暮のゼリービーンズ溶けて、

刎ねる首鞠蹴れば白粉朱くなりにけり 転ぶる排骨唐傘ちぎれ雲淡く 花びら濡るる身毒丸と 唇刺すは麻痺セリ長月 ――映し鏡映さぬ虚ろな鋼鉄 陰鬱な因果律に鼓動を求めても 此処には何も無いことを知れば ブラウン管はノスタルジアではなく 悲劇の象徴だと、 そ…

茫葉に隠されし百日紅の気管支

紅葉のフィルムに逆行する溺死が浮游する。 血に濡れても尚、伸ばす手とサイレンの唸り 白衣が爪弾く猟銃のざらつき 救護されるべき血小板に明日がみえない 細波のような遠き雨音が、心拍を拐かして__ 「此処は藍色と宵色を見失った街」 暗渠明滅、蒼白ノ…