haiirosan's diary

散文とか

2020-01-01から1年間の記事一覧

網膜のゾアとアスピリン

白磁散りばめられし水色に 瞬冷の春は幽かな暖かみを帯びて 全ての埋葬された遺体に無垢の祈りを捧げる。 例え、青ざめた爪先が 「鬼」の頸動脈を引き裂こうとも―― __モルヒネの笑み アブサンの残り香、 12月の空席、 拐かされし太陽、 オレンジ轢断した罪と…

着色料滲む終幕

彼方、幽かな杏子飴漂って、 全ての砂糖は終着点を見失ってしまう。 (三面鏡の裁判) それすら、動かぬはずの彼女はその首を揺らしてしまうから、私の指先から果糖と着色料滲む。 踏み散らした「藍」 白骨のエンドロールは緩やかに吸い込まれて __暗幕__ …

蜂蜜色の黄昏

紺色飴溶けて曇天 糖度に犯され赤蟻の水死体が、彼方に浮かぶ 平坦な煉瓦をいつまでも糾弾する議会に 首を残した者は誰一人としておらず、唯、その可憐な切り口から血と砂糖を流しつづけている。 「眠り亡き桜の記憶」 水色のスクリーンから零れ落ちて奇数を喪…

枯葉の悲鳴、永遠の残響

茜切り刻み、青の千鳥足が7Fに導かれ糖度に犯され赤蟻の水死体が彼方に浮かぶ。 平坦な煉瓦をいつまでも糾弾する議会に、首を残した者は誰一人としておらず、唯、その可憐な切り口から血と砂糖を流しつづけていた。 蒼白な森を永遠と彷徨うのは、きっと無垢…

モノクロームの十字架

ページの空白、海中の炎 折れた首とペンが世界に潤いを催す。 渦巻くコンタクトレンズ ブルーレットの境界線、「青」 揺れる大動脈に突き刺さる待ち針 ミシンの奏でるパンクロック 糸、赤い糸は枯れてモノクローム 暖炉から覗く足首の形は__ M O 氷水が空に…

実体の無い天使と奇数

鏡を遊歩する炎 三面鏡の迷宮 夕刻の轢死体引き摺られ 反転した海は赤みを帯びてゆく __ (天井) 落下するクランベリーと 安楽椅子が催す葡萄酒の醸造に 埃まみれのグラスは砕け散ったままだ 螺旋階段から墜ちる快楽、 注射器の海に浸る白昼夢、 正方形と…

円卓上の陽炎

紅海拡散する波打ち際 血の芳香剤散らばり 火薬庫は臨終を迎えた 治癒すら望めぬベッドの骨折 重油漂う暗渠に、カナリア泣き叫ぶ 匿名の傍観 教会は紫煙に浸された 「誰か」の影と懺悔が永遠と揺らめいて 逆さまのパノラマ 順行する三面鏡 ひび割れた希望 ひび…

透明な本に刻まれた改行

屍夏の太陽の下 十字架すら砂塵へと帰して 青はより鮮明になってゆく 彷徨うコンクリート・ジャングル 火葬に付されても尚、血を滴らせる人々が 最後のソーダ水を拭き零してしまう ……琥珀の波が黄昏時を洗っていた。 「無言の静寂」 柔らかなブランケットが覆…

忘却の月、救済の糸

婉曲する剃刀が、夕暮れの肌を切り裂く。 幽かな翡翠色の希望すら、 麻酔もなく轢断されて__ 304号室に遺された、空白の浴槽に溺れた脾臓。 無表情に突き刺さる画鋲が そっと笑みを浮かべた時、 遺影から拭い去れない血が流れだす。 氷結した彼岸花の断末…

ダガーナイフの寝室

うつらうつらと死の午睡 ゆらりゆらトうたたね ヲ …… 解体された毛布 丸まったままのブランケット 横たわるセダン、揺らめくままの蜃気楼 薔薇色の黄昏に焦土の嘆き――――鳴らない目覚まし時計、屍の敗血。暗幕に閉ざされた部屋、暗渠に浸されたベッドには、 …

水色の夏色、鬼灯色と遺灰色

夏の造花が咲かない花火を想い、嗤う――鮮明に映された網膜のオアシス 不可視の砂塵に喉を引き裂かれ、 街はアルファベットの影に怯え。 跫音、跫音が足跡も無く忍び寄ル__ 心臓零れ落ちる旋律、 施錠の無い出血に、暗いドアが緩やかに開かれた。 転がる空…

青1号沈澱せり世界

ライムミント滲む夕刻 光の無い街灯は酩酊を惨殺し 暗澹たる点滅を繰り返す。 小豆色の被膜に甘味料を加えんとした、かつての「地図に無い王国」は、堕落のリキュールに溺れ、徐々に消えゆく薄荷色を傍観しているだけだった。 浴槽に沈む街頭スクリーン 透き通…

「四四番目の空白」と蒼穹の破傷風

暗濘の彼方、 流砂のような火炎が、全てを焼き尽くしていた。 傍観或いは感傷 (それら)に浸る誰もが 既に火葬場の暗闇深くに沈められ__ 刹那に映る炭化した彼らは 暗幕の小さな悲劇にすらなれなかった。 視えない鬼が手招きする黄泉比良坂。 言葉も無く …

黄昏のエンドロール、藍色の天鵞絨

消失と忘却を輪廻する暁。 街には境界線を永延と描く黄泉路が、渇きをなくした夏を嘲笑している。 点滅を放棄した色彩たちは熱病に犯され、自らの心臓を露呈したまま、茫漠とそこに立ち尽くしていた。 夕刻に陰翳と華やかに 剥離した白磁 清爽の舞台から飛び…

千草色の平行世界

琥珀の季節を描くのは、最期の空中戦を求めて彷徨う巡礼者だった。 あまりにも酸素に充ちた群青色の海 息を止めて ライムミント掠めて―― ――幽かな冷涼と共に 残酷な夏は記憶を喪ってしまう。 翠緑の平行世界に映る亡霊 跫音の無い少女は 自らが翳すダガーナ…

石化面と心理的致死

誰かの脾臓が曇天に浮游して、機内食は瞬く間に菜食主義者に心理的致死をもたらした。 分解される倫理に慈悲はなく、ただ見えない乱気流が白骨化してゆく彼らを抱擁するだけ。 輪廻の運命、存在しない捜索隊と祈り 網膜に暗幕を降ろす、藍色の夕刻。 石化面…

「存在しない無意識下と毒蛇のポートレート」

海月のような太陽の揺らぎ 麻痺した空は目眩のままに夢魔を貪り―― 未だ訪れぬ澄んだ蒼の憧憬、 水面に沈む暁が全てを焼き尽くす時、 焼死体の眠りは何処までも凍えに浸されていた。 白昼の夢の意識は、海草のように揺らぐ電線みたいで、暗い影が夕濁した深海…

黄昏色の陰翳

黄昏色の陰翳から、色彩と人々が消え去った。 平行する夕暮れ時に、逆さまに映る少女たちの鬱血__ 或いは、 (昇ることの無いエスカレーター)を求めて彷徨う少年たちの影絵を塗り潰してしまうのは―― ゆるやかな波紋が水鏡の緑歌を瓦解させる。 灰燼と化し…

翠緑に添加された果糖

終末の交錯、蜃気楼のような痕跡は夕暮レに拭いがたい傷を刻んだ。 止まらない血 揺らぐ断片 無慈悲の警報 悲嘆に暮れる黄昏の匿名 炎上するのは仮想空間ではなく 君が死体のままの世界だから―― 翠緑に浸された死体。 無言に添加された果糖、偽装に塗りたく…

陰翳を卑下した秋茜と止血剤

「世界の果ての果てまで硝子で出来ている」(彼)が嘯いた地平線の彼方には氷結した蜃気楼が拡がって、淫らな猟奇殺人の色彩すら、何処か柔らかな揺らめきを湛えていた。 ――終わらない夏の白昼夢を映しだすガラスは、次第に焦熱を帯びて、凡てを焼き尽くしてし…

黄昏、青一号の海原

カーブミラーに映された「逃れることのできない死」は、夕暮の終わりと共にリセットされるはずだった。道端に転がる凝固した血痕、 融解した肉塊、 塩の眼と海に傷口を、逆さまの祈りを、正体を喪っても尚ずっと__ 路地裏の暗緑・透明な水 オフィーリアの叫…

風鈴狂い咲く「夏」の呼吸に、

地獄のグラデーションと摂氏__に焼かれ、ペリエの翡翠は緩やかに変換されてしまった。 情熱という名の虚無に永遠と墜ちる夢、 徐々に錆びゆく階段の 13段目(だけ)が見つからずに這い回るのは―― ――奇数の蜜柑に封入された青酸カリが滲みだし、5月は穏やか…

揚羽蝶ノかごめかごめ

輪廻の夕刻は静かに反転し始め、少女の酸素不足は呪詛と共に火を放つ。 より深い赤に切り裂かれた睡りは、死者と化しても尚救いがたく浅く―― 橋の彼方、未だに終わることの無い夕景に、彼は永延の(叫び)を止めることはなかった。 明滅するサイレンの雨、光…

薙刀を解体する少女の眼

仄紅い水底には、秋の牢獄から脱獄した影が彷徨っていて、季節は亡骸と化した。 血塗れの刃先を寒風に晒したまま―― みえない朱を嘲笑うことすら、誰にも止められなく 「咳ヲ縊スルルハトホキ春ノユメ」 白痴の花が咲き踊り 薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る…

ブルーキュラソーのグラデーション

紫陽花溶けた朝焼けに、少年の爪先は幽かな亡霊と怨嗟に剥がされてしまった。 だが、遠い警笛を糾弾する185694の使い魔の醜き悪意に、胃からの出血止まぬ少女が手に取ったレミントン・ショットガン。 3番目のトイレに投げ込まれたヒ素の色で観音開きの入口を…

C18Fe7N18±C16H10N2O2

私だけが取り残された砂漠の果て。 炭化した夕日のシャーベット渇いて、蛇が高速道路を這い回ることをオアシス・アイスの色素が描く。 意味を成さない言葉の配列に、地獄の化学式はそれでも毒を織るために、 ――鷺は風切り羽すら亡くしたまま 歩みをやめた葬…

丑三つ時に寄生する薔薇が色を喪う夢

チョークで象る死の証明。 彼方で轟く雷鳴を黙殺するかのように、 無言の炎が彼女のドレスのような懺悔を焼き尽くすかに見えた。 灰色の壁から一歩を踏みだした、 その笑顔は酷く歪んだままで 錆びついたナイフが浄化されてしまう音だけが 青い世界に鳴り響…

カテーテルの姦悪と錆びたベッド

雨音が硝子を炭化させる。 変拍子の化学式が揺らぐ時、 イロは血を纏い水は意識を喪った。 鴎はいつも死体だけを赦して、 いつかの冬の花火も、 黄昏の電線から飛び立つ鴉も、 夕陽のような記憶と共に薄れてゆく。 薄氷、水中花咲き乱れ、水槽は不審死が彷徨…

パラコート滲む造花とハーシュノイズ

落堕の春に、全ては呼吸器を放棄した。 彷徨う怨嗟、文字列が誘発する偏頭痛。 唯、眼前の終幕と蒼に、断線したイヤホンだけが 揺れて、揺れて、揺れ__ 永遠と繰り返されるハーシュノイズ、 鳥たちがサスペンデッド・ゲームに手を振ったとき、あまりにも穏…

溺れる魚の黄泉路

返り血の雨が渇ききった砂漠を彩る。 子供の国、届かない磔、釘の造花。 破傷風とフォークダンスを踊れば、幼児の切りたての首でキャッチボールを繰り返す父子に警告するのは、いつも死んだ眼をした私生児だと。 そうやって永遠の笑いが止まないうちに、存在…