haiirosan's diary

散文とか

2020-01-01から1年間の記事一覧

イチゴ畑と死体遺棄

秋の入口を忘れぬまま、いつかの縊死対がワルツを躍る。 茜色の季節、或いは水面の季節。 悴む手に熱と悪寒を帯びて、心肺が零れ落ちて街は紅葉跡のように色づく。 誰にも踏み荒らされない色彩 誰もいない車道をそっと撫でる風音 轢断されたショートケーキか…

線香花火の水死体

消えゆく硝煙反応にクリームソーダほくそ笑み、密やかな街頭スクリーンに踊るシルエットは、唯々消えゆく為の淑やかさだった。 遠い町、遠く、夢、幽かにカッターナイフ揺れて。 オレンジジュースの苦々しい笑みと、水鏡に揺れるゼリーに甘味料を混入し忘れ…

1989年、生まれ落ちて死にゆくのは、

手を伸ばせば、その先にあるのはいつも鉄条網だった。滲む血の行方すら渇ききって、いつか降る雨に救いを求めても、穏やかに浸食する砂塵の音色だけが永延と鳴り響いて。 錆びた剃刀空1989年、茹だるような快晴と青雲の或る日、一匙のバニラが世界に零され、…

最期に彩られたラストシーン

誰かの絵画が磔にされていた。 赤い血を吐きだす雪景色はもう夏を忘れたまま、最期のグラスワインを喪失してしまう。 夢現な物語は、渇ききったフィルターは、いつも心に清潔なバタフライ・ナイフを突き刺す。 もう零す血すら無くても、深々と。 浮き沈みを…