haiirosan's diary

散文とか

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

304号室、バスルームに投げ込まれた鋸と花瓶

花瓶に活けられた生首を視ていた。 扇風機の涼音がなる12月、カーペットに散らばったアイリスは徐々に色と名前を喪う。 匿名に封鎖された304号室、バスルームに投げ込まれた鋸と、ワイングラスに充たされた血が渇く時、鴉たちは爽やかに飛び立って、何処へ――…

3人目の首とホットケーキ

水鏡に映るのは深淵だと3人目の首が袋越しに囁く。無表情それとも? 壁に描かれた牛刀と聖杯、砕け散ったチョークに白は無く、浮輪に刻まれた画鋲跡が貴女の50mに迫る鮫の偽装が暗い暗い目をしたまま__ 逆しまの午後にホットケーキが爆ぜた、地雷原に供え…

瓦解する夕刻、蜜柑畑、プールサイド

蜜柑畑に埋める西瓜の心臓 癌、癌と茜色の手首から垣間見える唇が囁くのは、記憶の中で(誰かの)眼球に突き刺さった簪 蒼いのはいつもプールサイドから500m以内だと君は笑う 完結した世界、簡潔化した物語 救いのない飛び込み、クロールの哀歌 刻まれる塩素剤…

丑三つ時、暗鬱の水彩がワルツを

渇ききった白昼、曝かれた心臓は躑躅みたいだったから、私は口から滴る静脈血を抑えることができなかった。 クリームソーダにブラッディマリーを加える市民革命の幻想。 泡沫の日々に狂ったまま 水差しの透明は27歳で幕を閉じる ――演目のCoda ただ一人最上段…