haiirosan's diary

散文とか

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

リキュールの夕刻、死亡記事の行方

カササギ掻き毟る夕刻 蜜柑曳き殺した夕景 ページをめくる指は一つ、また一つと失い…… 『死に至る病』の最終頁に、私は氷結した希望を溶かしてしまった。6月、渇ききった唇、口紅の水死体(は)美しき季節 沈まぬ太陽に左手を振れば、 此処には憎悪と無感情…

水彩画には誰もいない

桜花のような心臓爆ぜて 春の冷たい花火は「無人の哀画」を柔らかに染めてゆく。 彼方の柱時計、ひび割れた季節 うしろのしょうめんと匕首 障子濡るる渇ききった春雨 ただ、雨にうたれた私には涙すらなく ――色、イロに拐かされた景色は 藍毒と狂った夢を火薬…

夕刻に揺らぐ紅茶のイロは__

薄ぼんやりした終幕は 何処までも冷ややかな熱を帯びたまま 唯、氷塊のような針時計を逆行させている。 ――いつの間にか色彩を喪った朝焼けに 世界は焦土と化して 彼らは裸足であることを忘却してしまう「もうひとつの天国」垣間見の蒼に虚ろさ揺れて いつか…

水鏡に暴かれた終幕

細波の夕暮れに世界が溺れて、 游泳をやむことなき「黄昏の名」が 誰にも聞こえない凱歌を歌う―― ――瞬く間に夜が忍び寄り 刹那に過ぎゆくその旋律は いつまでも暗渠の波間を漂っていた。 ……影絵揺らいで 冬を、心を、(わたし)を殺して……?鮮やかなる死、冷熱…