薄ぼんやりした終幕は
何処までも冷ややかな熱を帯びたまま
唯、氷塊のような針時計を逆行させている。
――いつの間にか色彩を喪った朝焼けに
世界は焦土と化して
彼らは裸足であることを忘却してしまう
「もうひとつの天国」
垣間見の蒼に虚ろさ揺れて
いつからか濁ってしまった網膜に映る清廉な世界は、貴女が瞬く間に業火に包まれてしまうから__
雨色の果ては唯、
明滅する光に冒された影たちが横たわり、
アスファルトのベッドは
名も無き遺体を抱擁する。
炎のような水流に伸ばす手すら
彼らは黙視してしまったから
夕刻に滲みた紅茶は、
憂鬱の炎をくべながら、
逃れようのない柔らかな宵闇をぼんやりと夢見ている。
暗翳の蒼揺らいで……
冷めゆく熱病
藍色フレーバー吸い込まれて
暗幕__