haiirosan's diary

散文とか

2023-01-01から1年間の記事一覧

スルツェイのストーリーテラー

――ザザ降り、気圧はすべての視えぬ希望を殺す。敗血の痕に、かつての栄光と勝利は藻屑と消えてしまった。こうして遭難と死を繰り返す日々は、遺された沙漠の水のような愛と藍を愛亡きふりをする愛という憎悪のホテルの片隅で愛撫するみたいだ。 さあ、雨音の…

2023081819 日記

――わくわくさんだってワクワクしない時だってある。ワクチンよりもヘロインと愛に腕が痛む水曜日だって―― 黒い雨、供給過多の横浜華僑街、珍が付くチャイニーズ・レストランでオレンジ・チキンがフェイクミート&ダンボールカリンで彩られている憤り盛は二郎…

Down To Heaven

アナログの夜伽、混濁した視覚視野に突き刺さる、季節の壊乱。 スクリーンに刻まれた罅――熱病に火を放つドライアイスとスピリタス。 青1号のドーナツ、不穏なる暗雲。抉られたサロメの眼球が、この世界の靑を永延と映している。 不可侵と不可思議に沈むパノ…

東京都京都呪詛は靑い着色料

――夢幻なるきょうと御堂筋にひた走る暴徒。 一陣、三陣、癈人の異人と砕けたフィルム。 遥か彼方、パナマ帽崩れな藍色の風が泣くとき、たしかに「あまりにも早すぎた夏」は見えない9人の三振によって、偶数番を亡き者へと変えた。 鴨川に流れる数多の水死体…

飴玉の紙吹雪

綿飴の夕刻に蟻の葬列が群がる着色料に冒された404号室の紙芝居 飴玉のブーケ 異国の花菓子に潜むのは? 紙吹雪が繰返す、あまりにも可憐なる終幕 裸足の彼女たちがいつかハイヒールに毒される夢林檎飴とイチゴ飴に潜まれしヒ素は 最期を鮮やかに彩るから――…

罅割れた花瓶の花火

泡沫を描く造花は熱の無い花火を繰返す。 罅割れた花瓶のような世界、枯れ果てた憂鬱なる季節の夢中夢。空白のフィルムに奇数を流し込んで、モノクロームの現像室に一匙の殺意と焰を―― 左85°の黒い手袋に隠れ潜む、ライターとダガーナイフ。――やがてチャイム…

リキュールのフレームアウト

フレームアウトしたリキュールに溺れる果実は熟れて、凍結した世界に救い無き糖度を催す。 珈琲色に浮游したまま、緩やかに死を迎える角砂糖。 透明度の無い深層は、いつも名もなき殺人とコイントスの裏が煌めいていた。血のへばりついた靴裏。蹂躙されし何…

88階、血印のテクスチャ

89階、垣間見のパラレル。 88階から這い上がる神の左手 87の使徒が裸足を拒否した雨の暁 包み込まれる憂鬱のワルツに、スクランブル交差点のパラソルは血に染まってゆく。 彼或いは彼女は逆さまの蝶を愛で 貴女の知っていたはずの名前を、 「ほんとうのなま…

8スクリーンの1/24

反転しない平行世界に、幽かな波紋は反故を示す。 水面に揺らぐ、貴女を殺す為だけのウイルスのような矛盾と抽象性に彩られた水曜日のドラマ。 周回遅れの物語は、微細な瞳孔の揺らぎにすら、匿名性のクレームと革命を蓄積する。 胡蝶の夢、不可視の歪みに覆…

羽根のないヘッセの最終頁

自己の残像引き裂かれ、柔らかな闇の抱擁は不穏と不安に浸されてしまった。 忍び足の夕刻茜は、その色味を深めて―― ――私の精神に匕首を刺し入れる。 剃刀刃切り開く春色めいてまひるの君は壊死を夢見る いつか、スクランブル交差点の雨は紅く 青ざめたアスフ…

夕闇のプールサイドは鬼灯色

水色の夏時計停まり、溶暗する黄昏。 柔らかに溢るる血潮想起してカルキの園は静かに嗤う 水のないプールを遊泳するバタフライ・ナイフが、鬼灯色の煌めきを鋭く湛えていた。 波紋に幽かに滲む静脈血 左手の罪を否定する影絵 6を刻む薬指の標本、君が曖昧な…

暗転スル季節

屍と踊る花花青ざめて揺らめく虚ろ酔い痴れたまま ビー玉と セカイ壊したアルビノが浮游するのは 水無き水槽 此処は多角形の心臓に囲まれたグラウンド。 ラジウム揺らいで、熱病が冷ややかに夏を描く。9回裏のリウマチに、いつかの夢は鮮やかに瓦解してゆく…

紫陽花とアリアドネ

昼の足音は色めいて、フィルムカラーの水彩が静かに熔けてゆく。 水槽の交錯点、錯乱した蒼は終末のヴェールを纏い、その深さを増幅してゆく。地上は色彩の無い迷宮、聳え立つ街灯は煌めく夢を視ることができるのか? 海原のようなビルの群れは、機械音の潮…