haiirosan's diary

散文とか

リキュールのフレームアウト

フレームアウトしたリキュールに溺れる果実は熟れて、凍結した世界に救い無き糖度を催す。

珈琲色に浮游したまま、緩やかに死を迎える角砂糖。

透明度の無い深層は、いつも名もなき殺人とコイントスの裏が煌めいていた。
血のへばりついた靴裏。蹂躙されし何時かの蟻は、腐敗した筈の触覚を幽かに震わせ……。
眩い程の空の蒼が、冷たい笑みを浮かべた。
「暗転する舞台」

暗闇に潜むのは私のゲシュタルト
洞窟の比喩に囚われし暗渠は、彼方の月を燃やすことに憑かれている。
路地裏を彷徨う亡霊のような肉塊
69階に踊る入墨は霊魂を象って
拐かされた神の愛撫
やがて訪れる思想と光の終焉、
その刹那に貴女は何を見るのか?
翠闇に溺れし絶花は、その美しさを振り撒きながら、救済を求める虫たちを打擲してゆく。
瞬く間に枯れゆく王国の玉座――

――断頭台を眺むる春のドレスの群れは、密やかな笑みを永延と浮かべていた。