haiirosan's diary

散文とか

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ブルーキュラソーの水槽

死んだような蒼が世界を溺死させ、魚の祭が終焉を迎える時、私は水槽に注がれるブルーキュラソーをずっと見ていた。 「夏に溶ける塩素剤に罪は無い」と『審判』は冒頭に書き記していたけれど、私が注文した200$は未だにリキュールのままだ。 カミュの言い…

私の蒼いラストワルツに誰も、

熱病に蒼が狂い始める。 6月の終末に、僕らは未だにドライアイスを抱えたままで、逆さまの蝶が形而上のラストワルツを捕食したとしても、無音の舞台が暗転することはない。 振り向けば君は忘却の彼方で、紅色の葵をその手に握りしめていた気がしたけれど、…

雨酔いのドールハウスと鴎の窒息

雨の痕がマキロンみたいにアスファルトを濡らしていた。 針葉樹に隠されし罠を私は忘れていたけれど、ロゼワインがまだ桃色のまま笑っていたから、乾ききったパンチェッタと蜜柑飴を文月の七日酔いの為に。 かの王政は私の罪を嘲ることを赦さなかった。 御輿…

Cigarette in your bed

朝霧のブランケットに包まれて、紫陽花が紅く火照る 彼方のライ麦畑も渇ききって更新される6月の永遠 つかまえたのはサリンジャーの理由なき38~78頁 『キャスターで浄化されし胡蝶蘭と摩天楼』 アスファルトのベッド、或いはベッドがアスファルト マッチ棒…

06080610

絶望の豚が火焔に呑まれる カストリの酔海が紫陽花から降り注ぐけれど 僕らが6月を忘却することへの示談にはならない 震えが止まらない右手、電気羊のバタフライ 夕暮れに泳ぐ彼女は 溶けることのない塩素剤を求めていた 電話線で首を吊る想像 翳されたカッ…

The Sound Of Dyeing A Cocktail Tone 4

蓄音機の針が縊死する刹那、 SummerTime Waltzを踊り始める蒼雲 37°のストロークに乱されて 水無月と口紅は唯、渇ききってゆく 雷鳴を掻き消す銃声 リボルバーで撃ち抜かれた向日葵 彷徨う薔薇と百合、造花と生花の境界線を越えても尚、その白い肌からは血と…