haiirosan's diary

散文とか

楼閣から芋けんぴをばら撒いた夢日記

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――恐らく丑三つ時、聴衆が溢れ返るチャイナ・タウンにて、裸足の僕はフェンダージャガーと菓子屋横丁で購入した芋けんぴ、そしてEFを無造作に詰め込んだケースを抱えて、灰色の楼閣を登っていた。

 広いとも狭いとも云えない、正方形の空間。電源タップが無造作に散らばる冷たい感触の床。僕の先客には、若き頃の鳥肌実或いは市ヶ谷駐屯地に於ける三島由紀夫を彷彿とさせる軍服の男が、軍刀を片手に拡声器を用いてしきりに演説を行っており、かと思えばその反対側では裸の少女達が酩酊状態でワルツを踊るカウガールと化している。

 この空間で僕は一体何をやればいいのだろう?眼前で繰り広げられるシュルレアリスムな光景に頭を掻き毟る、動脈血、静脈血、抜ける猫毛、癖っ毛に愛を否藍色なのはこれいつ染めたっけ?と中央でしきりにふやけたふ菓子を切り刻む腑抜けのKに尋ねるが、彼女からの返事はない。

 ♪ウォッカ、ズブロッカバラライカ、だからキめるペレストロイカ~ ジャガー+DS-1+JCでKurt Cobainよろしく掻き鳴らすGrunge Rock.だが阿呆丸出しの歌詞、GN'Rのようなファッションセンスに、人々は食している屋台風ラーメン二郎を噴き出している。ブーイング、BEING系、Going Downで地獄行き。

 「チミチミ、演奏長いよ」革ジャンを無理やり着込み、恰幅が良く、無精ひげにロイド眼鏡と云う唱和ミーツメタラーと云った風貌のロイド眼鏡の興行主にぼそりと呟かれる。しかし、僕のJCからはフィードバックノイズが垂れ流されていたので、ロイド眼鏡が「そう云った」ような気がしただけであり僕の潜在意識の中ではもう正直やめたいんだ皆が平穏に二郎が喰えなくなるようなロイド眼鏡の死んだ眼が死んだようなアンダルシアの犬のようなさあ、僕のサイダー瓶に詰められた七色の鼈甲飴をポマードに混ぜたところで、裸の少女達は成人式に特攻服で向かい、鳥肌由紀夫は自決はしないが、やっとこさ東京拘置所で首を吊られる覚悟が出来たようだ。

 あーあー飽きた飽きた、ギター弾くのだるいんよ、とレッドベリーが嘯く街頭スクリーン、おいおいおい老い貴方がそんなことを言ったら僕は赤色のジャガーを破壊して、いよいよ芋けんぴを撒き散らすしかないじゃないか!!!とScream.咽喉が瞬時に潰れた僕はギターを投げ捨て、血塗れの手で芋けんぴの袋を破り開けた。

「喰らえクソッタレ共」僕は心の中でそう呟くと、黄金色の芋けんぴを夜の闇に向かってばら撒いた。闇に吸い込まれる鋭利な破片、戦慄で歪な糖分と加工、狂乱の健康本『買ってはいけない』をカップヌードルと共に買った時の背徳感、そんな数年前のことを思い出して僕はセンチメンタルに抗鬱剤をHeart land Beerに溶かしこんでいる所で目が覚めたらもう午後9時56分だったのだ。