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haiirosan's diary

散文とか

ミントアイスクリームソーダパフェヴァニラファッジは群青色の空に溶ける

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真冬のアイスクリーム・パーラー、真夏の資生堂parlor、移り行く季節と共に、そして全ての罪が許されたかのような雪溶けと同時に、彼女らの垂直に突きだすパラソルの群れが、黄色い帽子の少年や紅い靴の少女の楕円形硝子を抉る。

白日の下で乱反射する、こぼれ落ちゆく透明な破片と濁りきった朱肉。私は傍観者として、その無惨な光景を静観していた。哀しみはあるか?憐れみは覚えるか?あの静かな夏を思い出すかい?
隣で視姦するジャンキーに尋ねるが、彼は涎を垂らしたまま、echoの吐き気を催す副流煙を吐き出すだけだった。

31IceCream,チープなカップに沈む、淡いグリーンと歪なチョコレート・チップが泣いている。バナナチップですら溶ける夏、ポテトチップですら砕ける人の群れの中、ポケットの黒百合すらも投身自殺死体の如く醜く潰され、或いは空想の誰彼が無軌道にかき混ぜた後のfruits pafeのような。そんな妄想の果てにある、群青色のレストランの三番テーブル上は、何時かのライ麦畑で視た「世界から誰もいなくなった十五時間」の、異国に於ける歪んだ記憶を艶かしく思い起こさせた。

雲が揺れる午後2時、暖かさと孤独を感じる街路樹の下。柔らかな肌はあの日のヴァニラ・ファッジのように甘く切なく、それでも私は、世界の終わりが見えるあのベンチにもたれ掛かり、ハイネケン・ビールの細やかな沫と煌めく水滴の刹那を愛しているような。そんなことを小さな部屋で嘯いた二十七歳の君は、気が狂う寸前に群青色のパフェに躊躇いもなく身を投げて、永遠の蒼に消えてしまった。