haiirosan's diary

散文とか

揚羽蝶ノかごめかごめ

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輪廻の夕刻は静かに反転し始め、少女の酸素不足は呪詛と共に火を放つ。

より深い赤に切り裂かれた睡りは、死者と化しても尚救いがたく浅く――

橋の彼方、未だに終わることの無い夕景に、彼は永延の(叫び)を止めることはなかった。

明滅するサイレンの雨、光は水死体となって、陰画の真実は酷く清廉さをましてゆく。未だ辿り着かぬ青い砂漠の深海に、アスファルトの隠蔽だけがほくそ笑んでいたから――

「死んだような街の夕刻、幽かな光を灯す水縹色すら、紫煙と暗濘に閉ざされてゆく」

換金された揚羽蝶は秋を絞殺して、

片羽の蝶

蛹のままの静脈

海辺の沈黙に墜落したいと願った。
錆びついた教会の鐘と休符の無い暁

裸足と零下、ヴェールのまま焼かれた人々は未だに砂漠の海を彷徨い、紅葉を捜し嘆きつづける

影絵に映る4層目の景色

パノラマは、奇数を殺したことを不起訴に処され笑って
彼方、隠滅された向日葵の残滓をかき集める蒼は、

有刺鉄線に注がれたリキュールに酔い痴れ、終わらぬ黄昏時を迎える。

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林檎飴滲む夕暮、時報すら酩酊し、揚羽蝶の「かごめかごめ」が嘯き始めれば、血塗れの井戸の封が解かれてしまう。
這い上がる白い手の気配が、鴉の喉を切り裂いて

少女たちの赤いランドセルが、淫らにアスファルトに転がってゆく――

 

 

 

 

薙刀を解体する少女の眼

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仄紅い水底には、秋の牢獄から脱獄した影が彷徨っていて、季節は亡骸と化した。
血塗れの刃先を寒風に晒したまま――
みえない朱を嘲笑うことすら、誰にも止められなく
「咳ヲ縊スルルハトホキ春ノユメ」
白痴の花が咲き踊り
薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る
無感動な警報と街灯は未だに揺らめきを繰り返すから、彼女は彼を即死させなければならなかった。
春の終わり、始まりの無い地図に隠された秘密と血痕。
天蓋花
茜色の円卓
薙刀に塗られた隠蔽の__
廻間の積み木遊びは蒼白さに呑み込まれ
瓦解してゆく人形たちの行方を見失ってしまった
氷結した太陽、閉ざされた窓、炭化したカーテン
鴉すら視力を亡くし、砕け散った老眼鏡と硝子の歩道から墜落してゆく左手を、誰が救えるというのか?
水槽に投げ込まれた奇数の皿に、長襦袢の朱はより深く、藍色で水色を隠蔽すれば障子の彼方はまた止まない廻廊だということを。
どうして?
どうして、井戸に破棄した青い簪が未だに天井を彷徨っているのか?
疑問符を焼却しないと、夜の帳が開く夢すら見られない。

ブルーキュラソーのグラデーション

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紫陽花溶けた朝焼けに、少年の爪先は幽かな亡霊と怨嗟に剥がされてしまった。
だが、遠い警笛を糾弾する185694の使い魔の醜き悪意に、胃からの出血止まぬ少女が手に取ったレミントン・ショットガン。
3番目のトイレに投げ込まれたヒ素の色で観音開きの入口を塗れば、きっと深く潜れたはずなのに。
揺らぐ硝子の水面にミントリキュール注がれ
人々は清涼な沈黙を選び取る
足音を掻き消すザザ降り雨と青ざめた太陽
傍聴席の無音を目隠しの断頭台が引き裂いて
柔らかな朱の香りが翡翠を蹂躙してゆくから__
ブルーキュラソーのグラデーション
ホットケーキ融解して
殺人の色彩すら隠匿される夜が始まってしまう。
歩みを進める蟻の群れの肌も、艶やかさを湛えて、砂糖菓子の歩道橋が崩れ消えてゆく足下すら、何ひとつ気づきもせず――
暁の神経系、朝靄、彼方の茜色
千切れゆく淡い鳥たちの羽根が、
藍色の彼岸花を枯らしてしまう。
5/3
赤い眼をして立ち尽くす暗いレインコートは
雨があがったことも忘れて――
奇数廻る季節に、素数が救済されることは無いから

C18Fe7N18±C16H10N2O2

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私だけが取り残された砂漠の果て。
炭化した夕日のシャーベット渇いて、蛇が高速道路を這い回ることをオアシス・アイスの色素が描く。
意味を成さない言葉の配列に、地獄の化学式はそれでも毒を織るために、
――鷺は風切り羽すら亡くしたまま
歩みをやめた葬列から飛び立っていった。

「涅槃 プールの底 赤い靴
羽根を無くした蝉の群れを視ている
終末の夏休み 移ろう海辺
水羊羹の変色
8月32日 終わりのはじまり」

夏と硝子の災禍、太陽への賛歌を放棄したのは? 
朽ち果てた信仰、マリアと病室の遺体
遺棄死体にしか生息しない果物みたいな虫の正体、砂のジェンガを繰り返して
手繰り寄せたゲームセットすら、夢見る機械みたい
そう、金網からはぐれた有機体が、視えざるアルファベットを嘆く。
遠く、遠くで放たれた心臓に鼓動は無く
暗い眼をした豚の皿がナイフに錆を滲ませて
心不全のワイングラスにアスピリンを捧げた。
酩酊、心拍数の零下、
眠りには果てがないから
桜には涯てがないから
私はずっと遺骨で拵えた飴を舐めていた。
祭屋台にツルハシ刺さり
簪むくろと金魚鉢、水が腐る
花びらの下は殺しと縊死を浄化する
そう云った猫は波止場の夕刻にそっと消え、
潮騒が沈黙を永延と奏ではじめた。

クーラーの無い教室に浮かぶ、縊死体の揺らめき

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歩道橋の水平線上、
焼けつく夕日に手を振るのは
いつも日々の泡だった
彼方を彷徨う「墜落を夢見た亡霊」
硝子のような夕刻と夜伽の障子
さし込まれるナイフに映る人々は今日も無観客試合を演じて、最期に遺るのは始発電車の放つ無呼吸の悲鳴だけだ、と。
落花生散らばる貯水槽、
一輪の椿と零れ落ちる右眼、
未だに鳴り止まぬ偏頭痛を模したサイレン。
ドーナツを溶かし、
ドーナッツを焦がした裸の太陽に
不敬罪の敬意を示さなければ
君は藍色のキャンバスのまま、
君は轢断欠席のままだよ?
傍らに立つ断頭台の女
或いは超新星の揺らめきに
不意に視た終幕の夢のはじまりは――

「打ち上げ花火濡れて 
唐傘目玉を抉る
首吊りの夏祭り 見世物小屋の行列
鼈甲飴の朝日 桜を犯す月曜火曜
薙刀翳す女学生
季節はずれの時雨は紅く」
蚊取り線香磊落せり
茹だる夏に注ぎこむは新たなる冷熱
早過ぎた埋葬と紅葉を抱擁するのは
ボタンを留め忘れたシャツと冷たい夏
「   」だと嘯く。
あまりにも早過ぎた夏
水の無いプールに浮かぶ投身自殺者
あまりにも早過ぎた夏
クーラーの無い教室に浮かぶ、縊死体の揺らめき
――やがて造花の秋が訪れる。
試験管に閉ざされた破滅への烙印
薬液に愛撫さるる薬液に彼らは希望を抱くことなく__散らばった星屑/ドライアイス
/食紅がバニラビーンズの下敷きになるとき
すべての色が亡骸となる

丑三つ時に寄生する薔薇が色を喪う夢

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チョークで象る死の証明。
彼方で轟く雷鳴を黙殺するかのように、
無言の炎が彼女のドレスのような懺悔を焼き尽くすかに見えた。
灰色の壁から一歩を踏みだした、
その笑顔は酷く歪んだままで
錆びついたナイフが浄化されてしまう音だけが
青い世界に鳴り響く。
磨り硝子に匿名の死と血
丑三つ時に寄生する薔薇が色を喪う夢
夕陽のシャーベット溶けて
彼らの水色の虚偽は裁かれることなく
通続音みたいな四月を迎えてしまった。
――そうして暗い影を濃くしてゆく君は
、一体何処へ歩みを
(奇数のWWW,)
或いは__
無機質なロンギヌスの槍が降り注ぐまでもなく
世界は脆くも瓦解してゆく
空は未だに水色を保ったまま


ちはワイングラスから
健やかに飛び立ってゆくけれど
彼らは審判に無言を貫き通していた
琥珀色の季節は瞬く間に楼閣を編み出し
彼或いは彼女の縊死を求愛する。

夕刻に靴ずれの痕血が滲み路地裏の鬼赤い靴の記憶

ねえ、手招きをする鬼の跫音がキこえる?
握り潰された柑橘類のイロ__色が空を犯す
まるで私の目が罪だと宣告されたかのように
流れゆくカナリアの激突は終末の調べ
蜜柑畑に血を零すことに躊躇いもなく、
君はフェイドアウトを選ぶ。

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カテーテルの姦悪と錆びたベッド

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雨音が硝子を炭化させる。
変拍子の化学式が揺らぐ時、
イロは血を纏い水は意識を喪った。
鴎はいつも死体だけを赦して、
いつかの冬の花火も、
黄昏の電線から飛び立つ鴉も、
夕陽のような記憶と共に薄れてゆく。
薄氷、水中花咲き乱れ、水槽は不審死が彷徨う。
斑金魚のワルツ、
極彩色の屛風の彼方。
花魁の血痕(だけ)を鑑賞する少女の瞳には千枚通しが突き刺さり、豚の血と夏が熟れはじめる。
宴の果て、紅い夕日が永延と照りつけて。
塩素の焦げる蒼だけが微笑を零した。
「切り開かれた血管の海に、誰ひとり溺れる者はいなかった」
そんな証言をした或る祝日は、
断頭台の上で自らの数字を忘却してしまう。
カテーテルの姦悪と錆びたベッド
存在を掻き消された黒板に刻まれた彷徨う
爪 痕
「きみがみつかるのはいつだろう?」
地下室の向こう
血溜まりに囁くのは
__
――
そう、屍のレンズが砕け散って、
やがて散りゆく桜がすべてを終焉へと導く。
裸体の被写体とアイデンティティを亡くしたカメラの悲鳴。
アスファルトはいつも嘆きの鴎が徘徊しているから、誤報の雨音が彼らをドアの彼方に閉じ込めてしまう。
黄昏れ時
時計の針が左眼を抉った刹那、
右側の平行世界は炎だけが時を刻んでいた。
錆びついた破傷風の連鎖に、誰もがシャッターを閉ざしたまま笑っている。
理由の無い昏睡を夢みた人々は、誰かの焼身による訴訟を嘆くこともなく、
二酸化炭素に浸されたベッドに、(きみ)はずっと横たわったままだったんだ。