haiirosan's diary

散文とか

翠緑に添加された果糖

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終末の交錯、蜃気楼のような痕跡は夕暮レに拭いがたい傷を刻んだ。
止まらない血
揺らぐ断片
無慈悲の警報
悲嘆に暮れる黄昏の匿名
炎上するのは仮想空間ではなく
君が死体のままの世界だから――
翠緑に浸された死体。
無言に添加された果糖、偽装に塗りたくられたノスタルジーに、世界は(毒)を錯覚した。
呼吸もままならない無音の咳に、埋まらない空席が一つ、またひとつと生まれてゆく。
〈誰もいない映画館?〉
二重まぶたのスクリーンに映るのは、色彩の無機質な笑みだった。
幽かな反転は、変死を水彩画に溶かし込む為に鐘が鳴るのは誰が為なのかすら__
赤死×に沈められた
空き瓶の罠に罠を巡らす輪廻に、彼らの信仰は何処へ消えてゆくのか?
いつか、躑躅の蝶が深緑を喰らう時。
木々は自らの名を忘却してしまう。
間断無く降る雨に、匿名の妊婦と淀んだ目蓋の百年戦争が描かれた。
血の染みた地図、此処には何もなかったことを__

陰翳を卑下した秋茜と止血剤

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「世界の果ての果てまで硝子で出来ている」

(彼)が嘯いた地平線の彼方には氷結した蜃気楼が拡がって、淫らな猟奇殺人の色彩すら、何処か柔らかな揺らめきを湛えていた。
――終わらない夏の白昼夢を映しだすガラスは、次第に焦熱を帯びて、凡てを焼き尽くしてしまった。
それは 泡沫の焰熱
傀儡は柔らかな影だけを遺して
行方不明者となっていった
足跡も無く
影もなく
――未だ止まない霧雨を焼き尽くす陽炎に
明滅の夏が嗚咽する
陰翳を卑下した秋茜と止血剤
踏み砕かれたカルテに遺された、筆跡の無い怨嗟
晩夏の旋律が「鎮魂歌」と見做されて
死を認知することすら赦されない魂が赤く染まるる刹那を、誰が咎めるというのか?
殺意の絵筆に、紅は宿ることなく……
陰画の夕暮れに、幽かな蒼が滲み依る。
沈黙或いは
沈痛__
彼方を過ぎ去る飛行機の不穏
あまりにも静か過ぎるネオンライトは埃を纏い、滑走路と共に、転がる白いスニーカーを黙殺する。
炭酸水流るる路上の夢、泡沫は丑三つ時に震えるクーラーを無言に導く。
車輪の無い三輪車
馬の消えた馬車
風船をなくしたピエロが嬌声をあげるとき、エレベーターを浸すのはソーダフロートの残り香だった。

黄昏、青一号の海原

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カーブミラーに映された「逃れることのできない死」は、夕暮の終わりと共にリセットされるはずだった。
道端に転がる凝固した血痕、

融解した肉塊、

塩の眼と海に傷口を、逆さまの祈りを、正体を喪っても尚ずっと__

路地裏の暗緑・透明な水

オフィーリアの叫び

あまりにも早すぎた埋葬……彼女の左手が幽かな救難信号を発していたことに、街の喧噪と光は気づくことができなかった。

降りしきる雨の連鎖と黙殺する__

車道に飛びだす乳母車すら、今や希望の暗喩だというのに。

摺り硝子のような空

暗寧のブランケットに火が放たれて

眠りを告げた太陽の揺りかご

空に湛えた青1号の海原で、姿見の滑空者が焼け墜ちて

__乾き往く死の水分、暗い暗い泡沫弾けて、細波は平静を再び取り戻すから。

海岸線、4F,刺殺体に花束を 転落死に祈りを?

「咲かない花もある」

青い春を永遠と繰り返す(彼)の最期は、より深い蒼を沈めて

朧ないつもの朝に、鳴り止むことのないサイレンを刻み込んだ

桜散らばるアスファルト

飛ばない鴉たちは夕暮れの傍観者のままで、

誰もが葡萄酒の葬列に堪えきれず

群衆は逆さまの十字架を背負い、紅色の砂漠を彷徨う

砂の無い(永遠)

救難信号を黙殺されし白昼

フィルムに収められた水死体の真実――
肥大化したレンズに無垢なる罅が一匙刻まれて、私は__

 

琥珀色の失楽園

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微睡みの花花に
昏迷のコンタクトレンズ剥がれおちて__(   )
色褪せた彼方の春雷のワルツ
吹き荒ぶ桜は耳を塞いだけれど、それでも春が過ぎゆくことを止めることはできなかった。
乱れ雲蒼に抱かれて睡る朝
消えゆく白は跡形も無く……
夢現と幻覚の中、私はクーラーの下のアイスキャンディが溶けるまでの数週間の間、翡翠色と紅色が絡みあう水牢で踊り続けていた」
此処は琥珀色の失楽園
瞬きを拐かす間に光は消え失せて、「少女たち」は暗澹のベールを羽織る。
季節の針時計狂って、雨酔いに沈んだアスファルトのベッドには、もう覚めることのない蝙蝠傘が倒れ臥していた。
秋雨を冷房が撫でる
坐して死す肉塊に捧ぐ傘は偽善なのか?
13階段で揺らぐ乳母の右手は、未だ震え止まず――
出血のままに匿名が描く鬱金色は、神の肝臓には救済を与えなかった。
傍観する深緑と、
抽象性を保持した

空__死
者の足
跡、跫

君の左手には罪の跡が遺されたまま息絶えて、
静かな眠りと――

風鈴狂い咲く「夏」の呼吸に、

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地獄のグラデーションと摂氏__に焼かれ、ペリエ翡翠は緩やかに変換されてしまった。
情熱という名の虚無に永遠と墜ちる夢、
徐々に錆びゆく階段の
13段目(だけ)が見つからずに這い回るのは――
――奇数の蜜柑に封入された青酸カリが滲みだし、5月は穏やかな死を迎えた。
(春)の名を忘却し、
誰もいなくなってしまった舞踏会に、
仮面

一つ、


と磊落してゆく

最期に灯されし淡い光
明滅する蒼白もいつか消えてしまうから
色を喪ったステンドグラスは唯無軌道な光を放つ
此処にはラストシーンへと向かう
渡り鳥の影すら無く、
熱病の季節へと向かう南風だけが
ふわりひらりと彷徨い歩いている。
_揺らぐ右
__嘲笑う左

逆さまの眼が蠢いて、
三面鏡に映る喀血の足音は止むこと無く
畳に刻まれた冤罪の痕跡
風鈴狂い咲く夏の呼吸を紫煙が凌辱すれば
朝日は茜色のままに地獄を彩る

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揚羽蝶ノかごめかごめ

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輪廻の夕刻は静かに反転し始め、少女の酸素不足は呪詛と共に火を放つ。

より深い赤に切り裂かれた睡りは、死者と化しても尚救いがたく浅く――

橋の彼方、未だに終わることの無い夕景に、彼は永延の(叫び)を止めることはなかった。

明滅するサイレンの雨、光は水死体となって、陰画の真実は酷く清廉さをましてゆく。未だ辿り着かぬ青い砂漠の深海に、アスファルトの隠蔽だけがほくそ笑んでいたから――

「死んだような街の夕刻、幽かな光を灯す水縹色すら、紫煙と暗濘に閉ざされてゆく」

換金された揚羽蝶は秋を絞殺して、

片羽の蝶

蛹のままの静脈

海辺の沈黙に墜落したいと願った。
錆びついた教会の鐘と休符の無い暁

裸足と零下、ヴェールのまま焼かれた人々は未だに砂漠の海を彷徨い、紅葉を捜し嘆きつづける

影絵に映る4層目の景色

パノラマは、奇数を殺したことを不起訴に処され笑って
彼方、隠滅された向日葵の残滓をかき集める蒼は、

有刺鉄線に注がれたリキュールに酔い痴れ、終わらぬ黄昏時を迎える。

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林檎飴滲む夕暮、時報すら酩酊し、揚羽蝶の「かごめかごめ」が嘯き始めれば、血塗れの井戸の封が解かれてしまう。
這い上がる白い手の気配が、鴉の喉を切り裂いて

少女たちの赤いランドセルが、淫らにアスファルトに転がってゆく――

 

 

 

 

薙刀を解体する少女の眼

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仄紅い水底には、秋の牢獄から脱獄した影が彷徨っていて、季節は亡骸と化した。
血塗れの刃先を寒風に晒したまま――
みえない朱を嘲笑うことすら、誰にも止められなく
「咳ヲ縊スルルハトホキ春ノユメ」
白痴の花が咲き踊り
薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る
無感動な警報と街灯は未だに揺らめきを繰り返すから、彼女は彼を即死させなければならなかった。
春の終わり、始まりの無い地図に隠された秘密と血痕。
天蓋花
茜色の円卓
薙刀に塗られた隠蔽の__
廻間の積み木遊びは蒼白さに呑み込まれ
瓦解してゆく人形たちの行方を見失ってしまった
氷結した太陽、閉ざされた窓、炭化したカーテン
鴉すら視力を亡くし、砕け散った老眼鏡と硝子の歩道から墜落してゆく左手を、誰が救えるというのか?
水槽に投げ込まれた奇数の皿に、長襦袢の朱はより深く、藍色で水色を隠蔽すれば障子の彼方はまた止まない廻廊だということを。
どうして?
どうして、井戸に破棄した青い簪が未だに天井を彷徨っているのか?
疑問符を焼却しないと、夜の帳が開く夢すら見られない。