haiirosan's diary

散文とか

88階、血印のテクスチャ

89階、垣間見のパラレル。

88階から這い上がる神の左手

87の使徒が裸足を拒否した雨の暁

包み込まれる憂鬱のワルツに、スクランブル交差点のパラソルは血に染まってゆく。

彼或いは彼女は逆さまの蝶を愛で

貴女の知っていたはずの名前を、

「ほんとうのなまえ」に降格してしまう。

――やがて、総ての事象の名が喪われ、

形骸の哲学はモノクロを描き続けていた。

色を喪い、メッキの剥げた記憶、白紙の記録

そう、白骨化した花園に隠されし蒼に、掻き乱すレンズも内臓を吐き出すことも無く……。

_-/<>¢§を幾度繰り返せば、私は真相を手繰り寄せられるのだろうか?

血印のテクスチャ

刹那の最期に赫と黄疸深まり、私は匿名の死体、或いは――を刻んで唯笑う。

8スクリーンの1/24

反転しない平行世界に、幽かな波紋は反故を示す。

水面に揺らぐ、貴女を殺す為だけのウイルスのような矛盾と抽象性に彩られた水曜日のドラマ。

周回遅れの物語は、微細な瞳孔の揺らぎにすら、匿名性のクレームと革命を蓄積する。

胡蝶の夢、不可視の歪みに覆われて……

此処はブラウン管の庭

形而上を盲信する巡礼者は、一様に死の香水を携え、造花を模した紅き国旗の傀儡と化していた。

香り立つ血を模した食紅

紅花畑に眠るリボルバー

ラストシーンの硝煙は、きっと空砲のはずさ。

8スクリーンの1/24

桃 色の血小板は奇数に開封された

壊死に色づく骨を抱擁する

かつての白磁を忘却したかのように……

羽根のないヘッセの最終頁

自己の残像引き裂かれ、柔らかな闇の抱擁は不穏と不安に浸されてしまった。

忍び足の夕刻茜は、その色味を深めて――

――私の精神に匕首を刺し入れる。

剃刀刃切り開く春色めいて
まひるの君は壊死を夢見る

いつか、スクランブル交差点の雨は紅く

青ざめたアスファルト

架空の死体を愛撫することに憑かれていた。

可憐なハンカチだけが、いつまでも行方不明者として、名もなき街を彷徨って、

無機質なはずの夜……紋白蝶が忘却した色。

標本溶けゆく空は濃淡を狂わせ、永遠の4を指すロンギヌスの槍は幽かな錆を抱いている。
羽根のないヘッセの最終頁、

とけない紙、慟哭の年号

氷雨の記憶すら焰に隠されてしまう。

夕闇のプールサイドは鬼灯色

水色の夏時計停まり、溶暗する黄昏。

柔らかに溢るる血潮想起して
カルキの園は静かに嗤う

水のないプールを遊泳するバタフライ・ナイフが、鬼灯色の煌めきを鋭く湛えていた。

波紋に幽かに滲む静脈血

左手の罪を否定する影絵

6を刻む薬指の標本、君が曖昧な存在と化す時……
林檎の花と紋白蝶は街に抱かれ、その色を葬列の足取りへと散らしてゆく。
円転する夕陽、教室の影が濃くなっても、彼方の祈りは終焉を迎えることは無く――

50mの永遠

100mの輪廻

ラストシーン停止するままに

エーテル揺らめくままに

潮騒の嚇は瓦解した世界を映す。
平面に佇むオブジェクトはやがて呼吸を 喪 い

、まっさらな色だけが微笑を湛えて――

暗転スル季節

屍と踊る花花青ざめて
揺らめく虚ろ酔い痴れたまま

ビー玉と セカイ壊したアルビノが浮游するのは

水無き水槽

此処は多角形の心臓に囲まれたグラウンド。

ラジウム揺らいで、熱病が冷ややかに夏を描く。9回裏のリウマチに、いつかの夢は鮮やかに瓦解してゆくような。

夕刻の平行世界擦れ違うまま、積み木の街は熱病を湛え、やがて静かに色を亡くして――

水色秋のコントラスト

揺らぐ水鏡、翡翠の葉影
時折蠢く最期の旗手は呼吸も未来も――

柩に閉じ込められた冬の記憶。

幽かな熱を秘めた藍空を、崩壊する世界の細波が覆ってしまった。
此処にはかつての死者が彷徨う海しかなくて、柔らかな呼吸すら、いつの間にかドライアイスを噛み砕いてしまう。

 

紫陽花とアリアドネ

昼の足音は色めいて、フィルムカラーの水彩が静かに熔けてゆく。

水槽の交錯点、錯乱した蒼は終末のヴェールを纏い、その深さを増幅してゆく。
地上は色彩の無い迷宮、聳え立つ街灯は煌めく夢を視ることができるのか?

海原のようなビルの群れは、機械音の潮騒を永延と繰り返す。
飲み込まれた水死体を柔らかに火葬する夕日が、穏やかな橙/紫色に世界を染めていた。

紫陽花の迷宮、イロを喪っては華やぎ、極彩色を彷徨う。
いつか、円環構造の迷路を類義語だと定義した紫暮は、アリアドネの糸すら渇ききってしまう沙漠に曝されている。

サイダーブルーの廻間、雨の予感は心肺を零しながら流れゆく。透き通った蒼に泡沫はなく、唯、正体の無い鳥たちの賛美歌が揺蕩っていた。

 

白日夢の残響

冥海の月は細波に揺らぎ、夕刻に溺れる街に笑みを零す。

死を拐かす白磁

深みと残響を帯びた蒼は、少しずつ歪を増して、この世界を――

白日の鎌、田園に溺れる都市のテクスチャ

白磁の左手は未だ血管浮遊せず、

色の無い春を包むリバーブ

桜花の下に手首隠せば

這出ることすら叶わず

ひとひらふたひらと重なる

死者への手向けに着飾られてゆくだけ

……いつか炭化する夢を朽ちゆくままに視ながら。

千切れゆく肉塊は蒼に病をもたらし、☓月の夕刻に、過ぎ去ることなき錯覚を付与する。

彼方に視える、水々しい水彩だけが

此処が修羅の獄だと囁いてくれた。

――暁、ドライアイス燃ゆる街

影絵の赤信号に狂わせられし群衆に蹂躙されてゆく。

剥がれたスニーカーの底

剝がされた偽りの防壁

彼らはきっと

裸足の快楽に火傷の深度すら忘れて――