haiirosan's diary

散文とか

安楽椅子のパラダイス

綿飴流るる白昼は甘味を帯びて、
獄熱と暗蒼に浸された、いつかの7月に幽かな救済を齎していた。

平行世界の翡翠色は、錆びた車輪と不明瞭に蠢く「なにか」を永延と映しだしていた。

――夏であったはずのスクリーンを瓦解する、暗い五月雨の宵。其処にあるのは、

「ほんとうの物語」に成り得たはずの……

呼吸なき水中牢獄での時はあまりに永く、炎或いは心臓蠢くミナソコは罪と罰に濡れた世界に、死んだような眼差しを向ける。

ゴシップでスキップ

安楽椅子のパラダイス

落第点と徒花

そう、飛び降りの夢は快楽にも似て、惑星の煮凍りはいつでもあなたの澱んだ眼みたいだと笑えば、チョークで描かれた墓標は硝子みたいに透き通って。

私の淫らな死すら、どこか絵空事のように感じたんだ。