茜刺すモルフォチョウ去りし蒼
残り香のイロを掻き消すように、金木犀が縊死する秋暁。
確かな記憶すら亡くした「君」の葬列を傍観者として、レコード散りゆく雨の足音に耳を傾ける。
唯、金箔が剥がれるメロディが続く
あまりにも凍てついた9月の迷宮
私は其処で閉ざされたままなのに。
言葉の代償は紙幣に届くはずもなく、彼或いは彼女たちは意味を持つことを忌み嫌う。
無味乾燥なフォアグラの末路?
燕尾服が漂白されて、全ては白日の下に。
天井から吊るされた傘に空いた空白
繰り返されるスピーカーから世界の終わり
♭なままのあなたの終末は、きっとアスファルトから逃れた、最後の水痕を希求するから。
そう、瑠璃色の海渇ききって、網膜と記憶を游泳していた夏はテトラポットを求める。
沙漠のような砂の城、
宴の痕は白骨死体、
かつて色を湛えていた、全ての国旗は
黒く塗り潰されて――