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haiirosan's diary

散文とか

パピエ・マッシュが人魚の財布に沈む夢

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 ある種の海藻に甲種の蜂が絡みつく。此処はキャスター、メンソール、マルボロの宝船が浮かぶ、ざらついた海辺。純粋だった君が傷だらけの裸足で歩いた、何時かの砂浜は偽物の真珠に身を焦がした哀れな貴婦人達の深爪から垂れ落ちる粘液と、腐りきったラズベリーの香りがする砂金によって、見るも無残な虎目石とハナミノカサゴの墓場と化しているのだ。

 白線、白癬、吐く千の紙飛行機が、ビクトリアプラム目がけて滑空していく夕暮。しかし、「石の果物」と呼ばれるそれは、例えば小さな女の子の透き通った眼のように柔らかではなく、その果実の甘さを享受することなく、ある者は表皮に潰された変死体と化し、ある者は灰色のシュレッダーに切り刻まれて死んで逝くのだ。

 歩きSとクロッカス、真夏の0世代の奇行に尾行する、年老いたJDとTWの山高帽の二人ですら、彼ら自身の煙管にPCPが仕込まれていたことを見抜けなかったことは、人類の大半の知能が死滅したことを暗示するものであり、僕らは白痴の世代として、狂死した二人の名探偵の面影を黒く塗りつぶし、道端に唾を吐きながら生きなければいけないような。そう、チーズピザ、山葵、セサミピザ、山椒、Chicago-Pizza,酸辣湯と或る日のレストランにおける食事だけれど、最近君はよく食べるし、僕のやせ細った二の腕を涎を垂らしながらまじまじと見つめるけれど、その眼は白く濁っていて、それは投薬だか狂犬病で気の狂った気違いのシェパードのようで。

 ああ、紫水晶に赤ワインを注いだ彼は、紛れもないアルコール中毒者であったのだろうか?献上品は不幸の石と酒漬けの宝石であることは、記憶の中で膨張・誇張される虚構よりも後ろ向きであり、民衆に一欠片でもパンをライ麦を干し肉を!と主張する狸は穴倉の中で舌を引き抜かれ、激しく殴打されたのち電気椅子の刑に処されていた。それはだって、彼の大学ノートを覗き見れば、視力が-2.0まで落ち込む様な緻密で小さな文字が隙間なく刻み込まれていて、その内容を自称連邦捜査官に見せればコンマ数秒で「これは大規模大量殺人の計画だ!」と口角泡を撒き散らしながら満員電車の中で20,001Hzで叫ぶのだから仕方ないことだったのさ、と黄色いランドセルに上履きの君らは笑い転げる。

 僕は阿片窟のようなパピエ・マッシュの隠れ家で、徐々に脳を溶かす毒が混じった甘い蜜を吸い続けている夢を見た。それは、汚れきった海水に沈んだ人魚の財布から、この歪で壊れた世界と同じくらいコワレタワタシヲ曝すことが恐ろしかったから。そして寒い寒い季節を幾重も越えて、正常な呼吸を続けることなど出来る気がしなかったからなのかもしれない。