haiirosan's diary

散文とか

148-76120-96の「存在しない住所」

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思考の水槽が錆びた車輪に刻まれてゆく。
夕刻は色を喪い、私の網膜はアイスピックのような蒼を刹那に齎し、やがて永遠の茜が滲む。
__浮游夢は覚めることなく、唯アスピリンが砕け散る繰り返し繰り返しに。
ウィスキーグラスの水も何処か虚ろな眼をしたまま、幽かに揺らいでいるから――
「孤独な夕刻は何処までも燃えあがっていたけれど、モノトーンのセカイは無表情な蒼白さを保っていた」
世界線にたった(一人)遺された水色の空気清浄機。
其処に注がれた綿飴に青酸を混入すれば、茜色の点灯が永続性を催す。

点は「無人駅を描 
いた紙芝居」の水飴 
線上だった。  に視える青
銅の蜃気
楼ですら、裸
貴女は奇 麗だと嘯れど__沈――
渇ききった地下の天窓に制服の少女達は助けを求めるけれど、148-76120-96の「存在しない住所」に救済措置は施される筈は無く、誰かの赤いスニーカーと右手首が無慈悲に転がるだけだ。

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やがて、翡翠色のプールに沈みゆく彼女らは、いつも「終わり」を求めていた。
赤く染まったスカート、空白のハイヒール、錆びた指輪__
救いの手が水よりも冷たいことを知った時、誰がこれ以上生きたいと思うのか?