haiirosan's diary

散文とか

海辺のような暁、痛絶

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累積せり警告を業炎に投げ入れ
波間のような沈黙に浸れば
私と「わたし」の縊死体が
幸福そうに揺れていた
水面に浮かぶ左手が掴む救命の偽装
偽りに偽りを重ねた手錠
錆びついたうつつ、時計の針折れて……
(夕暮れ夢)は 
カーテンから射し込むナイフが切り裂いて
蝕まれた錠剤が 忘れかけていた偏頭痛を齎す
網膜に浮游する春雷の幻惑
網膜に降る雨に 誰も傘を差しだすことは無く
――
桜花深層、蠢く酩酊の蛇切り裂かれ__
此処には終わりなき憂春が
通続音として鳴り止まぬ……
削がれた耳
剥がれた目 
裸足の薙刀破傷風が添えられれば
地蔵の側頭葉の待ち針は
いつまでも鈍色の光を放ったままだ
透明が私の体内を浄化して
深遠なる蒼の心肺に
幽かなサイレンを鳴らす
数式に形成された、海辺のような暁
光亡き清廉さと淡い囀りに
淘汰される死すら痛みを忘れて――