haiirosan's diary

散文とか

2019-01-01から1年間の記事一覧

水色のサーカス

無呼吸症候群の朝日 ソーダ水の死 唸る柱時計に少女は 視えない檻と絶望を凝視する。 10階(以降)の世界で 誰が笑っているのか? 行き止まりの十字路、 線路上にて見つからない手首と血痕―― 暗い雨朝は、未だにアスピリンを咀嚼しているというのに__ 翠雨の…

Abstract Film

全ての呼吸が蒼に吸い込まれる。日曜日は千鳥足のサーカス、月曜日は副流煙の霧と肺患い。 ――老人が颯爽と去った猟奇殺人の現場には領収書は無く、ただ水に浸るだけのPeaceが遺されて、 造花の呪詛が断線したイヤフォンを這い回る。血イロの旋律とFade Outの…

8mmフィルムから零れたアイスピック

有刺鉄線が藍色を纏う時、硝子の靴は粉々に砕け散った。 太陽の亡霊、 砂漠の亡骸、 薔薇の亡命 少女が時計の針を忘却していたのは「狂っていたから」だと綴られる 39面の死亡記事が切り裂かれた時、硝子の破片は行方不明を装い__ 8mmフィルムから零れたアイ…

無表情のクリームソーダ

終幕の風景はいつも穏やかだ。清廉な蒼を切り裂く朧な光明、眩し過ぎる収斂に、時計の針すら呼吸を止めて__ コンタクトレンズが剥がれるように、水中に溺れるように、悪い夢が醒めるように――ぼやけてゆく世界 街も人も冷凍されてしまうけれど、その開いた…

首の無い客引き、敗血に浸された2月

蠱惑の帳に火が放たれし時、影踏み遊びの無邪気は脆くも斬り捨てられる。錆びついた諸刃、有刺鉄線の夕暮れに貴女は切創無く、夜を迎えられるのか? 彼方の星が世界を傍観する。人々は今日も自ら心臓を吐きだし、灰色の刻を紅く染める―― 街は虚ろさを漂わせ…

誰もいないはずの後遺症の窓

――鳴り止まない蒼い警報、アスファルトを這い回る錠剤の粉塵、真紅のカーペットを染めるのは青ざめた焼夷弾だと、誰が認めるのか? 遠く、遠く、藍霧に潰されたHighway509,ひび割れたバックミラーに映るのは終末のスニーカーと、茜色に乱れた手形、赤い涙零…

チョコレートミントの有刺鉄線

――巳の刻に僕らが彷徨う螺旋階段、最後に待つのは琥珀色のエンドロールか、それとも__ 凍傷を起こした秋の青い昼、静脈血の彫刻が色褪せてゆく8限目の理科室には、唯スカーフの残り香だけが、煙るストーブと灰色の紙芝居で色喘いでいた。 __やがて喪われ…

藍色の彼岸花

https://youtu.be/vpQjoiVSvmI藍色に霞む鏡割れて 虚ろ霜月、赤く染まる花 青い鳥が刻む彼岸 遠いサイレン 君の悲鳴と__「静けさだけが この世界の全てだった 終幕のエンドロール、名も無き墓標 溶けるフィルム、箱舟、淡い五線譜 砂漠 揺れるドライアイス …

148-76120-96の「存在しない住所」

思考の水槽が錆びた車輪に刻まれてゆく。 夕刻は色を喪い、私の網膜はアイスピックのような蒼を刹那に齎し、やがて永遠の茜が滲む。 __浮游夢は覚めることなく、唯アスピリンが砕け散る繰り返し繰り返しに。 ウィスキーグラスの水も何処か虚ろな眼をしたま…