haiirosan's diary

散文とか

カウントダウン

f:id:haiirosan:20171028183712j:plain

眠りの中、それとも現の中。それともな現は最悪の最悪が重なる七、私が狂っているからかもしれないが、レストランで供される水はカップ酒に見える。私は他人がいるところで食事はしたくないから極力レストランには行かないけれど。
それで逃れられない7段の跳び箱の隙間からうっすら視える濁った二つの目。3つ数えたアンタはダガーナイフで神を殺す。僕らはその瞬間視線に視姦されるような気がしたから僕だけが僕を殺した。そしたら、何故かは分からないが皆が笑っていたから、僕は着ていたシャツのボタンを一つまた一つとゆったりと淫らに外していった。
「ボタンって地雷みたいな形をしているね」
ピアノ線が張られた境界線の彼方から、首の無い少女がそう嘯いた気がした。けれど、僕はただ、このシャツに刻まれた椰子の実は焼夷弾だから僕を自殺か他殺か判らなくしてくれる甘美さに酔いしれているだけだ。そう、パイナップルが罪の味を覚えるように、桜が溺死することに陶酔するように。
エルパソ・ドライブ、墜落しかしない小型ジェットの堕落。泪橋をハイウェイに見立てるセドリックの狂気。夏に飛び出せば全部終わりなのに、夏にさらけ出せば皆腐乱死体になっちまうのに。
24hのドライブスルーから脱け出せたものは少ないと、交差点に立ち尽くす老人がのたまう。氷の消えたコーラは行方不明だし、ピクルスとケチャップ、それにマスタードを混ぜれば死体の跡みたいだって。
ハンバーガー・ロールオーバー、深淵の麻を求める騎士団の行進曲はいつか葬送曲へと変調し、彼ら或いは彼女らは艶やかにそのシャツのボタンを123456と外してゆくが、そんな白昼のストリップショーに興味を抱く者は誰一人として存在しなかった。
誰か数字を刻むのか?いや、誰の時計も止まったまま狂ったまま涎を垂らす。犬みたいに犬みたいに犬みたいに犬みたいに犬みたいに僕の眼球を撮影しようとする。それでも、何も無い世界の終わりに僕の死体は意味もなく、夕暮れが静かに圧し潰してくれたから、彼は最後だけは幸せだった。

f:id:haiirosan:20171008181701j:plain