haiirosan's diary

散文とか

水のないプールのナイフ

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隠されし藍を求め彷徨う巡礼者たちは、
蒼影の砂漠に引きずり込まれてしまった。
自らの正体をなくし
傷無き破傷風に悶える暁
鈍色の奇数
偶数で瓦解する膿のような、
沈黙のコンパスの針が心臓を貫く時
青ざめた太陽と月が融けあうから――
パステルブルーの沈黙
凝固した泡雪に血が滲めば
やがて訪れる黄昏が
拭い去れぬ闇と
鋭いナイフを携えていることに
二重の君は気づく
上海瑠璃揺れるチャイナブルー
春の昏迷に黄昏し造花の笑み
記憶溺れる着色水に
砂熱の夕焼けが突き刺さって――
躑躅揺れて気の触れた夏
沙熱に溺れ
焦熱に壊れ
投げ込まれた心肺
50の固執に水色笑う
水のないプールを愛撫する追放者の祈り
――蜜なき救済に
蜜蜂の鼓動が崩れ落ちた時、
あなたは左手のバタフライナイフを
錯乱のままに酷く握り締める……