haiirosan's diary

散文とか

血を拭う為のドレス、ドレスコードの無い704号室

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皆殺しの12月に水槽は貴女の心肺を解かし続ける。青ざめた太陽とシャンデリア、ライ麦に隠された9mmの薬莢。__全ては点滴に映る君の真相だと、704号室の花瓶が砕け散った刹那にベッドの下のナイフだけが、そっと笑みを零す。

刻まれた牡丹をひとひらひとひらひらりひらりとふらりふわりくらりゆらり__
絶夏の色彩に唐紅の唇を切り裂いて。簞笥の長襦袢が(死)の水仙染めを奏で始めた時、匕首を握り締めているのは誰?

暗いくらいクローゼットの中、君の凍死躰が発見されたのは目眩の収まらない7月だった。瑞々しい草木が揺れる溶鉱炉、飛行機雲奔る砂場に、誰が真夜中の救命艇を差し伸べるというのか……

——赫が切り裂く朧な記憶と色彩。霊安室に収斂された青2号を輸血すれば、貴女の覚醒と心臓に絶望と痛絶を与えることができるのか__
カウンター越しの終わり、氷が燃え尽きた時、ドレスコードは無効と消えて……

やがて下された最期の審判に、讃美歌は不協和音を叫ぶ。

靄に掻き消された真実、高らかなに映しだされる虚構。
「此処には何も無い」
囁いた少女のカノンコードは脆く崩れ去って、12月のアスファルトに溶けていった。

週末と匿名の絶望が、鈍色の朝を朱に染める。狂うだけの針時計、無言の打擲。渇ききった鳥たちは飛び立つこともせず、鋼鉄の教会に閉ざされたままだ__祈りも無く、希望も無く――