haiirosan's diary

散文とか

造花の桜花とクロール

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脾臓飾られしフィルムの内面のフィルム
零れ落ちたクロールの残影
バタフライの鮮やかな水死体
彼女らの影は 止血剤を無効化して――
熱砂に気の触れたステンドグラス
かつての鮮やかさを救済もなく喪い……
十字架が少しづつ色褪せてゆくことを、
誰もが黙視してしまう。
砂時計狂えば頭痛零れ墜ち
硝子亡くして花散りゆく
30秒の敗血は水鏡に浸透して
瞬く間に君の記憶から零れ落ちてしまう
__あまりにも眩き夏の刃物
蹂躙された?打擲された?
ありふれた致死と私の遺書
アルファベットの痕跡は
殺意と無意識に冒された指先を震わせるから――
もう一つの快楽
水彩の毛細血管
暗く淡い影にひた奔っているはずの紅は
その色と正体を喪い__
__散る造花の桜、
浮遊する翡翠藍と
クロールを繰り返す魚座
あの日の青い春を描きだしている。